こんにちは。フィスコリサーチレポーターの飯村真由です。今年もいよいよIPOが本格化する時期を迎えましたね。3月は11社の新規上場が予定されています。今回は「IPO投資の心得」と「3月の注目IPO銘柄」について学んでいきましょう!
IPO投資には2種類の方法--「公募株投資」に人気が殺到
まず、IPO投資には、
◇「公募株投資」:ブックビルディングに応募し、公開価格で株を得る
◇「初値投資」「上場投資」:セカンダリーなどと言われ、初値形成後に投資をする
の2種類の方法があります。
しかし、ブックビルディングに応募しても当選しにくいという現象が起きています。
初値が公開価格の2倍以上に跳ね上がるケースが多く見られ、時には5倍超となる銘柄もあります。公開価格割れとなるリスクが非常に少ないため「公募株投資」に人気が殺到しているのです。
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「IPOバブル」となった2013年
54社の新規上場のうち、公開価格割れとなったのはたった1社のみ! 唯一の黒星となったのは、12月19日に東証2部へ上場したウィルグループ〈6089〉。人材派遣事業を手掛ける企業で、公開価格を4.2%下回る初値形成となりました。
公開価格はどのように決まる?
では、公開価格はどのように決まるのでしょうか。
同じような業種のPER(株価収益率)を参考に適切なPERが決められ、それにEPS(1株当たり利益)を掛け合わせる形で仮条件が決まります。この仮条件の範囲内で「いくらで何株欲しいのか」という投資家の需要によって公開価格が決定します。
IPOバブルの状況下においては応募者が殺到するので、仮条件の上限で申し込むのが鉄則です!(上限で決まらない場合は人気のない銘柄という事になります)
もちろん初値は買いたい人が多く人気が集中する銘柄ほど高くなります。
ですが、初値形成後に値を崩す銘柄が多いため、初値売りがセオリーとなっています。
特に初値が高くなりすぎてPERが100倍以上になった場合は割高感が意識される水準になりますので、その後の動きには要警戒です。
「初値が高くなる3つの条件」を覚えておきましょう
何の事業をしているか!…IPOで評価されやすいのは"ネット系"など成長性の高い企業です
どこの市場に上場するか!…成長市場として認識されている"マザーズ"への上場が人気です(続いてジャスダック市場)
公開規模!…公開価格×公開株式数=市場吸収金額が"小さい"ほど初値が上がりやすくなります(新興市場の場合は5~50億円程度)
公募株投資として"最も優秀な案件"とは?
2013年に上場した銘柄の初値上昇率を市場別に比較してみると、
◇マザーズに上場した29社の公開価格から初値の平均上昇率は+147.2%と非常に高く、2倍以下にとどまったのはわずか7社
◇東証1部に上場し市場調達額が100億円を超えた4社の公開価格から初値の平均上昇率はわずか+9.3%
と、大きな違いがあります。
公募株投資として最も優秀な案件は「マザーズに上場するネット企業で公開規模が小さい銘柄」ということになりますね。
誰もが知っている有名企業だから初値が高くなるわけではないのです。
東証1部に上場したJAL〈9201〉(公開価格:3790円、初値:3810円)、サントリー食品〈2587〉(公開価格:3100円、初値:3120円)など、時価総額の大きい大型IPOは初値こそ上がりにくいものの、その後はしっかりとした上昇を続ける傾向があるためセカンダリーには適していると言えるでしょう。
昨年8月末にマザーズ市場に上場した訪問介護のN・フィールド<6077>(公開価格:1500円、初値:3100円)は今年に入り再び強い動きを見せています。好業績への評価や一部証券がカバレッジを開始したことなどが刺激材料となり、3月に入り年初来高値を更新! 公開価格の約13倍となる水準まで上昇しているのです。このようなお宝IPO銘柄に巡り合えるといいですね。
対照的な動きになっているのは6月末にジャスダックに上場したバイオベンチャーのリプロセル<4978>(公開価格:3200円、初値:17800円)です。上場3日目でようやくついた初値は公開価格の5.6倍と人気化したものの、その後大きく下落。今では初値の約3分の1にあたる水準になっています。
3月に上場する11銘柄
さて、3月に上場する11銘柄に話題を移しましょう。
毎年3月は年度末の駆け込み上場が多く、12月は年末の駆け込み上場が多い時期です。
◇6日にジャスダックに上場したITクラウドサービスを手掛けるサイバーリンクス<3683>は、公開価格の2.7倍となる6550円で初値を形成したあと、換金売りが膨らみ同日中にストップ安水準まで急落しました。
今後もIPOバブルは継続していきそうですが、短期資金が次々と新しいIPO銘柄に移っていくような相場展開が予想されます。
3月のIPO銘柄のなかで最も注目を集めているのは、
◇26日にマザーズに上場するサイバーダイン<7779>:医療・介護福祉・生活支援分野で活用されるロボットスーツHALの製造・販売。(公開規模:70.2億円)
公開規模が大きく赤字企業ではあるものの、市場の関心が非常に高いため初値形成は2倍超になると予想されています。
大ヒット映画「ターミネーター」にでてくるサイバーダイン社と同じ社名であることも話題になっていますね。社名の由来は、筑波大学教授である山海社長が創出した新学術分野「サイバニクス」(人・ロボット・情報系の融合複合技術)からきているようです。
そのほか初値が2倍超と予想されている銘柄としては、
◇12日にマザーズに上場するエンバイオHD<6092>:土壌汚染対策事業(公開規模:7.8億円)
◇25日にマザーズに上場するみんなのウェディング<3685>:結婚式場の口コミサイト運営(公開規模:45.9億円)
◇28日にジャスダックに上場するエスクロー・エージェント・ジャパン<6093>:不動産取引にかかるシステム提供および金融機関からの事務請負(公開規模:5.2億円)
などが挙げられます。
また、新規上場に向けて同業の銘柄が買われる傾向があります。
◇サイバーリンクスの場合:インフォマート<2492>
◇サイバーダインの場合:菊池製作所<3444>、ハーモニック<6324>、セック<3741>
など、刺激を受けて短期資金が向かっている関連銘柄にも目を向けられるといいですね。 IPO投資も奥が深いことがおわかりいただけたでしょうか。
初値も高く、その後も上昇するような優秀なIPOは10分の1程度の確率と言われています。
つまり、公募株投資・初値投資どちらも成功する確率は約1割です。
初値形成後の上昇を狙う場合は、他の上場銘柄と同じように業績が伸びていきそうな期待がもてる銘柄を選ぶといいと思いますよ。
皆様が素敵な銘柄に巡り合えますように~♪
執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 飯村 真由
JALの元筆頭株主である糸山英太郎氏の秘書時代に株と出会い、現在はフリーライター及びフィスコリサーチレポーターとして活動中。Yahoo!ファイナンス株価予想での的中率が高く、また購入しやすい価格帯にこだわって成長株を厳選しているスタイルも評判となっている。特に短期投資向きの銘柄選びに定評があり、毎月5銘柄ずつ紹介している単独レポートも好評。個人投資家から多くの支持を集めている。
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