短期投資を成功させるには高度な相場分析が必要

みなさん、こんにちは。フィスコリサーチレポーターの飯村真由です。前回は中長期スタンスの場合の「銘柄選びのコツ」についてお話しましたが、今回は短期投資について深めていきたいと思います。

私が考える短期投資とは1カ月程度で十分な利益を得ることを目標にしたトレード法です。

中長期的な成長性もありながら短期的な株価インパクトを狙えそうな銘柄をご紹介するようにしているのは、「同じパフォーマンスを狙うなら、よりスピーディーにできた方がいい! 今が旬な銘柄を教えてください!」という投資家さんのニーズが非常に高かったからです。しかし、短期投資を成功させるには高度な相場分析が必要となります。

「短期間で値上がり期待の大きい銘柄を選ぶコツ~基本編~」について学んでいきましょう。

フィスコリサーチレポーターの飯村真由さん

「マーケットの関心=テーマ性」の高い銘柄に資金が集中しやすい傾向

まず、基本的な株式投資の考え方ではありますが、株の値動きは買い手と売り手のバランスによって決まりますよね。

売り手(供給)よりも買い手(需要)が増えると株価は上がります。

この"需給"のバランスを読み解くことが大切です。

つまり、需給が良好で、投資資金が向かう銘柄を選べると株価へのインパクトが期待できます。

ここで大事なのは「テーマ性」です。

マーケットの関心=テーマ性の高い銘柄に資金が集中しやすい傾向があります。

昨年を振り返ると、

◇2013年前半:バイオ関連・ゲーム関連・カジノ関連・3Dプリンター関連

◇2013年後半:LINE関連・オリンピック関連・カジノ関連・太陽光関連

などが賑わいました。

それぞれに"本命株"と言われる銘柄が存在します。

春と秋に盛り上がったカジノ関連では日本金銭機械<6418>、夏頃から強い動きとなったLINE関連ではアドウェイズ<2489>など、一番に突出した動きを見せ、他を牽引する役割を果たすのが"本命株"です。

そして、第2、第3の銘柄探し="物色"が始まります。

セクター全体が活気づくと、業績のあまりよくない銘柄でも買われ一時的に強い動きを見せるものです。

ステップアップ

最も物色の動きが強まるのは!?
"本命株"の上昇が一服した時です! わかりやすい例としては、ゲーム関連の"本命株"であったガンホー<3765>の上伸力が弱まり始めたときに"第2のガンホー"として注目されたのがコロプラ<3668>でした。週足チャートを比較してみると値動きの違いが明らかですね。コロプラは今年に入りまた強い動きになっています。

ガンホー<3765>週足チャート(1年半)

コロプラ<3668>週足チャート(1年半)

2014年に入って、まず注目を集めたのは"新エネルギー関連"

反対に需給が悪化した時は注意が必要です。

例えば、太陽光関連銘柄が強い動きを見せていた頃、「太陽光発電の買い取り価格を2015年に2割引き下げ」との報道を受け、関連銘柄は軒並み下落しました(2013年11月18日)。

買い需要の傾きにより高値圏で推移していた時、このような悪材料で利益確定の売りが入ると一気に需給は悪化します。

実際に、ウエストHD<1407>は1800円レベルから1200円レベルへと下落に転じました。

そういった意味では新聞などでの情報収集もやはり大切ですね。

2014年に入って、まず注目を集めたのは"新エネルギー関連"です。

これは東京都知事選挙に立候補を表明した細川護煕元首相が「脱原発」を掲げたためです。

バイオマス発電や省エネ関連などの関連銘柄がストップ高をつけるなど強い動きを見せました。

私の単独レポート1月号(12月24日リリース)でご紹介したエナリス<6079>は、

◇成長性の高い直近IPO

◇20万円以下で購入可能

◇流動性が高い

という条件を元に注目したのですが、これにエネルギー関連の需給改善が加わったことによって、約3週間で+69%というパフォーマンスを出す事ができました。

エナリス<6079>日足チャート(90日)

バイオマス発電を手掛けているファーストエスコ<9514>は今月に入ってついに4桁をつけましたが、株価が300円台の頃から3倍株候補として注目してきた銘柄です。そこにはバイオマス発電という新エネルギーにはもっと関心が向かうだろうという思いがありました。

ファーストエスコ<9514>週足チャート(1年半)

今どんなテーマが注目されているのかを意識しながら、次にどんなテーマに関心が向かうのかを考えるようにしましょう。

2014年注目されそうなテーマは?

◇LINE関連:今夏にも上場か!? との報道もあり、上場決定を待ちわびている投資家は多い。すでに高値圏での推移となっている銘柄が多いですが、まだまだ目が離せない。

◇カジノ関連:1月24日~6月22日までの通常国会で法案提出予定。調整中の銘柄が多く、カジノ解禁への期待感が再燃する展開となれば妙味あり。

◇介護関連:6月に介護・医療REITが上場予定。高齢化社会において需要が高まっていくセクター。着実な成長を続けている企業や新規参入の企業に注目。

テーマ株のメリット・デメリットとしては、

◇メリット:日経平均が下落する局面においても強い動きを見せる。

◇デメリット:値動きが激しく、利益確定流れになるとキツい下落となる。

ということでしょうか。

つまり、上手く流れに乗ることが大切です。

「もうはまだなり、まだはもうなり」という有名な相場の格言があるように、もう上がらないだろう…と思っても、まだ上がる場合も多くあります。

強いテーマ性を保有し、出来高を伴った強い動きを見せている時は、上値追いの展開に素直についていくことがセオリーでしょう。

しかし、利益確定の流れに傾くと、一気に売り物が出てきます。

特に信用規制がかけられた場合などは注意です!

短期資金が賑わっている銘柄は値動きが荒いので、トレンド転換を見逃さないようにしましょう。

買うのは簡単! 良い売り時を逃さない事が大切です!

売買のタイミングについてはまた回を改めてお話したいと思います。

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 飯村 真由

JALの元筆頭株主である糸山英太郎氏の秘書時代に株と出会い、現在はフリーライター及びフィスコリサーチレポーターとして活動中。Yahoo!ファイナンス株価予想での的中率が高く、また購入しやすい価格帯にこだわって成長株を厳選しているスタイルも評判となっている。特に短期投資向きの銘柄選びに定評があり、毎月5銘柄ずつ紹介している単独レポートも好評。個人投資家から多くの支持を集めている。
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