「はい、朝立ちです」。電話予約での店員の第一声に、まず度肝を抜かれる。しかし、ここは決して怪しい店ではない。最高においしい札幌の焼肉の名店「グルマンズいとう」の2号店、その名も「モツの朝立ち」。最高においしいモツが楽しめる店なのだ。
店の内装は、和テイストで落ちついた感じの雰囲気。しかし、店は平日・週末に関わらず、客がいっぱいで大賑(にぎ)わいだ。店を見渡すと、会社帰り風のサラリーマンが多いが、OLらしき女性の姿もチラホラ。店名だけだと、女性は敬遠してしまいそうな感じだが、そこで行くのをやめると大後悔! そこにあったのは、男性も女性も楽しめる"モツ天国"だったのだ。
ハブにマムシに高麗人参! パワー系ドリンクも充実
最初はいつものように生ビールを飲もうと思ったのだが、思わず飲み物のメニューを二度見! 衝撃のキャッチコピーが!!
「朝勃ち応援します!」
そして、そのコピーの下には「まむし」「ハブ」「高麗人参」と、名前を見るだけで元気になりそうなドリンクメニューが。カウンターをよく見渡すと、透明な瓶に入ったハブやマムシが神々しく鎮座していた。
見てるだけでも元気になりそうだが、まだ時間は18時。うずくココロを落ち着かせ、まずは店オススメの「すだちサワー」(600円)をオーダー。スライスされたフレッシュすだちがたっぷり入ったサワーはさっぱり。グイっと何杯でも飲めそうなのを我慢して、魅力的なモツメニューをたくさん食べるために筆者のモツ(胃袋)のスペースを確保する。
新トリコロールに舌鼓
フードメニューも魅力的なものばかり。まずは"ココ来たらこれ食っとけ!"メニューの筆頭「朝立ち名物 モツの煮込み 玉子入り」(600円)をオーダー。ユッケジャンスープのような辛みの効いたスープ中に、肉厚プルップルのモツがたくさんだ。
程よく辛いスープだが、玉子を割ると黄身がとろ~りの半熟玉子で、辛みの角がとれたちょうどいいまろやかなスープに。緻密な計算をされていたかのようなコンビネーションである。モツは"かめばかむほど系"のモツではなく、"口に入れたらもうなくなっちゃた系"の柔らかい肉質。本当ににすぐなくなっちゃった! おかわり必至のモツ煮込みなのである。
「牛ハツの薬味和え」(400円)は、ネギやゴマが入った薬味醤油で和えられた新鮮な牛ハツとうずらの玉子の黄金の組み合わせ。ハツの赤、薬味の緑、玉子の黄色、新トリコロールに認定だ! 食べる前からおいしいと感じられる料理には、年に何度も遭遇できるものではない。
朝立ち=朝、リフレッシュして出勤!?
料理のおいしさは間違いなしな「モツの朝立ち」。しかし、これを聞かなければ帰ることはできないだろう。なぜ"朝立ち"なのか、だ。ハブ酒やマムシ酒に、栄養満点のモツ料理。朝から元気になってほしいということで間違いないだろうと思いながらも、カウンター越しに恐る恐る店員に確認してみることに。
「やっぱりお店の名前の由来は、アレが元気になってほしいということですよね?」
しかし、意外な返事が!
「違うんですよ! サラリーマンの方に、会社帰りにおいしい料理を安い値段で楽しんでもらって、次の日の朝、リフレッシュして仕事に行ってほしい。という願いを込めて大将がネーミングしたんです」。
たしかに、この日は男2人でおなかいっぱい飲んで食べても会計は5,000円ほど。そういうことだったのか! と変なことを想像していた筆者は大反省。おかげで明日も朝から仕事が頑張れそう。店員にぺこりと礼をして店を後にした。
いや、待てよ! あの「握ればご利益 擦れば尚よし」と書いた、まるで何かを想像させるような立派な鼻の天狗の壁掛けは何だったのだろう。そんなことを思いながらも深くは考えないことにし、帰路を急いだ。
明日も明後日も行きたくなる「モツの朝立ち」。元気になりたい人はぜひ一度行ってみてほしい! もちろん、女性も大歓迎だ。
●information
モツの朝立ち
北海道札幌市中央区南3条西4丁目9 カミヤビル 1F
※記事中の情報・価格は2014年12月取材のもの。価格は税込