歩きスマホによる事故が社会問題化しているが、年末年始のイベントなどで街中に人があふれるこの季節は特に注意が必要だ。そんななか、女子大生が歩きスマホの防止を啓発するプロモーション動画が公開された。

この動画は、大学の広告研究会や広告系サークルが制作した広告プランで競う「Adfes 2014」の取り組みとして実施されたもの。東洋大学・広告研究会のアイデアである若者向けに"歩きスマホ(スマートフォンの画面を見ながらの歩行)"の防止を啓発する「ドコモ・カシコモ前向キ美人化計画」プロモーションだ。今回マイナビニュースでは、同プロモーション動画が公開されるまでを取材してきたので紹介しよう。

東洋大学のダンスサークル「Snow Dancer」による「ドコモ・カシコモ前向き美人化計画」

Adfesは、早稲田、法政、日大、明治、東洋、一橋、成蹊、青山学院、立教、明治学院、帝京、神戸、金城学院の13大学が参加する学生広告の頂点を決める大会で、今回が12回目。最優秀プランは、企業とともに実際の広告として制作されることになり、学生にとっては企業とともに自分たちで考えた広告を実現できるまたとないチャンスになる。

動画の撮影は、一橋大学・兼松講堂前で行われた

今回、実現に向けて制作される広告プランは「ドコモ・カシコモ前向き美人化計画」。東洋大学広告研究会の藤代真綾さんや杉浦茜さんら5人による広告プランで、ドコモの課題である「歩きスマホ防止の啓発活動と企業イメージの向上」として考えられたアイデア。ただ「歩きスマホが危険」というアピールをするのではなく、特に歩きスマホをしがちな女子大生をターゲットにして、「歩きスマホをしている人は下向きに歩くため美しくない」という観点から広告プランを提出したという。

東洋大学広告研究会の藤代真綾さん(右)と杉浦茜さん。NTTドコモ本社でも打ち合わせを行い、広告プラン実現に向けて検討してきた

さらに、昨今話題となっている驚きにコミットにする集団演技「フラッシュモブ」を組み合わせ、大学構内で突然行われるダンスのパフォーマンスを学生に見てもらい、それをSNSで拡散してもらえるようなプランを検討。こうしたプランが採用され、今回の撮影となった。

今回のプランを出した藤代さんは、自分自身も「歩きスマホが自然で気付いていなかった」と話し、周囲でもこうした課題を受けて初めて自分が歩きスマホをしていることに気付いたという。中には、今回の課題をLINEで知らされたときに、まさに歩きスマホをしていた人もいたそうだ。

ドコモの安部早織氏

ドコモのプロモーション部戦略担当の安部早織氏は、Adfesへの協賛について「若者へのブランドアピールを狙っていたが、単なる企業広告ではなく、社会問題化している歩きスマホの啓蒙というかたちで、企業イメージ向上に繋げたい」と狙いを語る。今回、東洋大学広告研究会のプランを選んだのは、「“前向き“で美しく」という着眼点を高く評価したからだという。

今回公開された動画の撮影は、一橋大学内で行われた。同大学の構内で東洋大学のダンスサークル「Snow Dancer」のメンバーが歩きスマホをテーマにしたダンスを披露。このダンスは、スマートフォンを持つ一団の踊りが美しくなく、前向いて踊る一団の美しさを際立たせる、という構成。スマートフォンを見ながら踊り、歩いてくる一団と、スマートフォンを持たずに踊り、歩いてくる一団が交錯し、スマートフォンを持っていた側が最後にしゃがみ込む、というパフォーマンスが行われた。

スマートフォンを見ながら踊るグループ

こちらはスマートフォンを持たないグループ

2つのグループがすれ違い、最後に歩きスマホグループがひざまずいて終わる

動画撮影後、藤代さんに話を聞いたところ「学生たちがなかなか一同に集まれず、ほとんど一発本番だったのが不安だった」と振り返る。だが、本番では見事なパフォーマンスを披露し、藤代さんも安心したとのこと。「今回の広告で若者が歩きスマホに気付く第一歩になって欲しい」と語る。学生との打ち合わせを繰り返し、リハーサルから見学していた安部氏は、パフォーマンスでも学生たち自らアイデアを出し合って取り組む姿勢に好感触を得ていたようだった。