「バーチャルリアリティ空間へ連れていってくれる魔法の機械」としてじわじわと認知度を上げている「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」が初お披露目されたのは、2012年のE3でのこと。その後行われた「Kickstarter」を利用してのクラウドファンディングでは、目標金額の約10倍にあたる240万ドルの資金調達に成功。発表から2年経ち、プロトタイプより解像度が向上した開発者向けキット「Development Kit 2」が提供されており、これを活用した様々なコンテンツを目にするようになりました。
そもそもオキュラスって?
オキュラスは、100-110度という広い視野角を持ち、頭の動きに表示が追従するという「ヘッドトラッキング」機能が搭載されたバーチャルリアリティ・ヘッドマウントディスプレイです。
これまでにも密閉型ヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)は数多く出ていました。しかし、その殆どは暗闇のなかにポツンと画面が浮かび上がり「○○メートル先に○○インチの画面が映し出された状態」というのを作り出すものです。
確かに他のものが視界に入ってこないので、映画やドラマなどの映像作品を観る際には、邪魔されずに集中できるというメリットはあります。しかし、FPSやオープン系RPGと呼ばれるゲームをプレイするとわかりますが、首を左右に振ったり、後ろを振り返ったりしても、見えている画面は同じ。おそらく、筆者と同じように「オモッテイタノトチガウ」とガッカリした経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
具体例を挙げると、テーマパークなどにある映像を見ながら進んでいくライド系アトラクションを想像してください。3Dメガネをかけることで、施設内にあるスクリーンから投影された映像が、まるで側にあるかのような体験をすることができますよね?でも、画面から目をそらしてしまうと、その世界というのは途切れてしまいます。
しかし、このオキュラスは違います。「表示が追従するヘッドトラッキング」と「視界の邪魔をされず楽しめる密閉型HMD」が融合。目の前に広がる景色はもちろん、後ろを振り返ったり、上や下をみたりしても、その世界は途切れることなく続いており、まるで自分がVR空間の中に迷い込んだような感覚に包まれます。
オキュラスを使ったVR体験は増えてきており、今年、日本でも話題になりました。それがYahoo!JAPANが開発したSNS連動型バーチャルジェットコースター「ヤフートレンドコースター」です。これは、「Yahoo!検索」の「リアルタイム検索」の推移グラフをトレンド波形として可視化し、それをジェットコースターのコースとして体感するアトラクション。
筆者も実際に体験してみましたが、景色が動き、頂点で目線を下にやると小さな建物などが見え、ホンモノのジェットコースターに乗っているかのようでした。
他にも楽天トラベルが長野県と協力し「バーチャルリアリティ観光体験 –長野県-」というイベントを企画。オキュラスを装着することで、Googleストリートビューのような静止画像で作られた長野県の観光名所を旅することができるというもの。
また、観光やゲーム以外での使い道の1つとして、スポーツ&フィットネスアプリおよび周辺サービスの開発を手掛けるオーストラリアのランタスティックがオキュラスで利用可能なワークアウトプログラムを開発中なことを12月16日に発表しました。 例えば、満天の星空でのストレッチや瞑想をすれば、リラックス効果も得られそうですね。
現在発売されているオキュラスは開発者向けですが、米国時間の9月19日~20日に開催された「Oculus Connect」で、最新版の試作機「Crescent Bay」(クレセントベイ)を発表しました。サウンド再生機能を備え、本体重量の軽減や装着のしやすさなど、製品化へ向け着実に進化していっています。
数年前まではSF小説や映画の中でしかなかったVR空間に入り込むという夢物語は、このオキュラスの登場により、手の届く場所にまで近付いてきています。
数年以内にこうしたVR体験がもっと手軽に行われているのではないでしょうか。夢のフルダイブ環境まであと少しなのかもしれません。
■ 記事提供:gooスマホ部
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