東京工芸大学はこのほど、「災害情報の活用に関する調査」の結果を発表した。同調査は11月12日~16日、全国の20歳以上の男女を対象として、携帯電話によるインターネットリサーチで実施。1,000名の有効サンプルを得た。
9割以上が自然災害の頻度や規模の拡大を実感。ただし半数は防災意識が低下
まず、回答者の防災意識を確認するため、自然災害に対する意識に関しての例を挙げ、どの程度あてはまるかを聞いた。その結果、「近年、自然災害が増加していると感じる」では93%が「あてはまる」と答えた。また、「近年、自然災害が激化している(規模が大きくなっている)と感じる」も「あてはまる」が91.5%となった。
他方で、「近年、自身や家族の防災意識が薄れてきていると感じる」では、「あてはまる」が50.4%となり、自然災害の発生頻度が増加し、規模も大きくなっていると実感している状況にありながら、防災意識の薄れを感じている方が半数にのぼった。
若年層でとくに低い"共助"意識
続いて、自然災害への対策状況として「"自助・共助・公助"の視点から十分に備えられていると思うか」を聞いたところ、"自助"項目の「自然災害の備えは、自身や家族において、十分にできていると感じる」では「あてはまる」が26.3%、"共助"項目の「自然災害の備えは、地域コミュニティにおいて、十分にできていると感じる」では「あてはまる」が21.5%、"公助"項目の「自然災害の備えは、行政(国・県・市や警察・消防など)において、十分にできていると感じる」では「あてはまる」が25.9%だった。
それぞれ、備えられていると感じる割合は3割に満たず、その中でも特に、地域ぐるみで支えあって自然災害に備える"共助"がとくに低い割合となった。また、"共助"について年代別にみると、特に20代や30代といった若年層で「あてはまる」と回答した割合が低く、20代は16.0%、30代は14.5%に止まった。
家族などの安否確認手段、電話以外の方法の使い方を知っている人は少数
「自然災害が発生したときにどんな情報源を頼りにするか」を聞いたところ、「情報の速さ」の面で頼りにする情報源は「テレビ」が最も高く81.8%。以下「緊急速報メール」「ラジオ」「ポータルサイト(Yahoo!天気・災害など)」と続いた。
また、自然災害の「情報の正確さ」の面で頼りにする情報源についても、「テレビ」が最も高く71.2%。以下「ラジオ」「緊急速報メール」「ポータルサイト」「新聞・雑誌(電子版など、インターネットを除く)」となった。
家族などと安否確認をする"電話以外"の方法を知っているか聞いたところ、「災害伝言ダイヤル(171)」について「使い方を知っている」が22.8%、「使い方を知らない(あること自体は知っている)」が65.9%、「あること自体を知らない」が11.3%となり、使い方を知らない人が多数派だった。同様に、「災害伝言板(web171、携帯キャリアの提供する災害用伝言板)」の使い方を知っている人は19.1%、「SNSを利用した安否確認方法」の使い方を知っている人は17.7%だった。
自然災害の速報や予報を知っても「何もしない」人も多い
これまでに緊急地震速報を見聞きした経験がある852名に対し、「緊急地震速報を見聞きしたときにとった行動」を聞いたところ、「危険なものから離れる(火元、割れ物の陳列棚、ブロック塀などから離れる)」「安全な場所に移動する(頑丈そうなビルに入る、エレベーターから最寄り階に降りる、など)」は3割台が行っていたが、「特に何も行わなかった」も35.2%にのぼった。
また、今年台風の接近情報を見聞きした955名に対し、「どのような台風対策を取ったか」を聞いたところ、「当日は外出を控える」が58.7%、「家の周りにあるものを室内にしまうか固定する」が32.9%、「備蓄品(水・食料など)を用意する」が20.1%などとなった。「特に何も行わなかった」人も19.9%いた。