暖差リスク予防委員会はこのほど、冬の住宅に関する調査結果を発表した。同調査は、楽天リサーチが10月17日~19日、全国の20~70代の男女2,500名を対象にインターネットで実施したもの。
「冬の家の暖かさについて満足しているか」を聞いたところ、32.7%が「やや不満」、13.5%が「不満」と回答し、計46.2%の人が何かしらの不満を持っていることがわかった。
「やや不満/不満」と回答した人に、「どのような点で不満を感じているか」を聞いたところ、1位が「廊下や脱衣室、浴室が寒い」(62.4%)、2位が「暖房をつけても部屋が寒い」(41.2%)、3位が「暖房をつけた後、部屋が暖まるのに時間がかかる」(40.2%)という結果に。1位の「廊下や脱衣室、浴室が寒い」がそれ以下と20ポイント以上の差をつけており、住宅への不満の大きな要因になっていることがわかった。
住宅内で寒いと感じる場所を聞いたところ、1位は「洗面室・脱衣室」で57.8%を占めた。次いで「浴室」(51.4%)「トイレ」(50.2%)「廊下」(43.5%)と、普段過ごす時間が短い場所があがった。また、「キッチン」(37.6%)「寝室」(32.8%)など、ある程度長い時間を過ごす場所でも、3割以上の人が「寒いと感じる」と回答した。
「ヒートショック」とは、急激な温度変化により身体が影響を受けることを指す。リビングから浴室・脱衣室・トイレなど、温度差が大きい場所を移動すると、体への負担が大きく、さまざまな症状を引き起こすとされている。
「ヒートショック」という言葉を知っている人は全体の50.9%と半数を超えたが、普段からヒートショックについて意識することがあると回答した人は41.2%にとどまり、およそ6割の人がヒートショックを意識していないことがわかった。
ヒートショックの印象については、「高齢者にとっては危険だと思う」が最も多く71.4%を占めた。一方で、「自分のこととして考えたことが無い」と回答した人も16.8%いた。
住宅内の温度差のある部屋間の移動において、「身体への影響を感じたことがない」人は20.7%で、残りの79.3%の人は、「何らかの身体の反応や変化、影響を感じたことがある」と回答。具体的には、「身体が寒くてぶるっと震えた」(58.5%)「肩をすくめたり、身体を縮めたりした」(55.0%)などの反応をあげる人が多かった。
冬の自宅内の行動について当てはまるものを聞いたところ、「暖房等で暖めるのはリビングなどの居る部屋のみで、その他の場所は暖めない」人が60.5%で最も多かった。次いで「自宅の脱衣室や浴室が寒くても暖房器具を設置していない」人は37.8%という結果となった。
選択項目にあがった行動は、どれもヒートショックの原因になり得るという。どの行動もとっていない人はわずか19.9%にとどまり、8割超の人がヒートショックの原因になり得る行動をとっていることがわかった。
ヒートショックの原因になり得る行動をとっている人に、「その行動がヒートショックにつながり得ることを知っているか」を質問したところ、半数を超える52.1%が「知らない」と回答した。
人間-生活環境系学会会長で福岡女子大学人間環境学部教授の大中忠勝氏は、ヒートショック予防のポイントとして、暖差リスク(部屋と部屋の間の温度差を「暖差」とし、暖差がもたらす健康上の危険性のこと)を解消することをあげている。
「ヒートショックを防ぐには暖差3~5度以内が安全の基準となるでしょう。例えば浴室や脱衣室、トイレなどにも暖房を設置し、なるべくどの場所も同じ温度にしておくことで、暖差リスクを減らすことができます。また、もしこれから住宅を選ぶのであれば、保温性が高く外気温の影響を受けにくい家選びも有効です。外気温の影響を受けにくい住宅は、家全体の温度がひとつの部屋のように一定に保たれ、暖差リスクは発生しにくくなり、ヒートショックを未然に防ぐことができます」と同氏。