オンキヨーは12月20日、東京・秋葉原で開催中のポータブルオーディオフェスティバル2014(ポタフェス2014)にて、iOS/Android OS向けのハイレゾ再生アプリ「Onkyo HF Player」のアップデート概要を説明した。新バージョンでは2つの"世界初"が盛り込まれる予定だ。
この日の発表会の主役は、microSDカードからの再生機能を持ったヘッドホンアンプ「DAC-HA300」だったのだが、より驚かされたのは、Onkyo HF Playerのアップデート内容だ。その世界初機能とは、以下の2点である。
- Android端末から外部DACへのハイレゾ出力を実現
- リアルタイムDSD変換機能を搭載
iOS向けには現行アプリの「Ver.2.0」として、Android向けには10月に公開したトライアル版をあらため「正式版」として、1月中旬の提供開始を予定している。
Android端末からのハイレゾ出力はUSBが鬼門だった
Android向け「Onkyo HF Player」の正式版では、オンキヨーが独自開発した「USB Audio HF Driver」をアプリ内に組み込むことで、Android端末から外部DACへのハイレゾ出力を実現した。
AndroidではOS標準のUSBドライバーが用意されていないため、各端末メーカーがUSBポートを制御するためのドライバーをそれぞれカスタムで作っていた。つまり、USBドライバーが端末によってバラバラなため、USB DACとの動作不具合があれば一台一台解決しなければならなかった。そこで今回、オンキヨーはアプリ内に独自ドライバーを組み込むことで、端末によって異なっていたUSBに関する制御を一元化。世界で初めて、さまざまな端末でUSBからDACにハイレゾ出力する仕組みを整えたというわけだ。
リアルタイムDSD変換には「高精度」モードも用意
モバイル端末向けのアプリとして世界で初めて、リアルタイムDSD変換機能を搭載したことも今回の大きなトピックだ。MP3やAAC、FLACなどのPCM音源をDSD 2.8MHz/5.6MHzに変換しながら再生するという、この機能を利用するには当然、高性能なCPUが要求される。オンキヨー 開発技術部の日月(たちもり)伸也氏によると、「iPhone 5S以降、Androidでは4コア/2GHz以上のCPUが推奨環境」とのこと。また、「4コアCPUをフル活用すること」が開発の難所であったと明かした。
リアルタイムDSD変換機能では「高精度」モードも用意している。「高精度」モードでは、よりヘビーな変換アルゴリズムを実行することで、S/N比を高めたサウンドを提供するという。そのトレードオフとしてCPUへの負荷が高まり、バッテリーをより消費するものの、通常のDSD変換に比べ音圧も上がるとのことだ。
発表会では、オンキヨー 商品企画本部 東志行氏が「DACチップをそのまま使うのでは面白くない」と切り出し、DACチップからアプリに作業を移し、4コアCPUに演算させることで、カスタマイズ領域が広がることについて解説した。その一例が、モバイル端末によるリアルタイムのPCM→DSD変換であるという。その結果として、「ずっと音作りができる、すなわち開発が終わらない」と会場の笑いを誘った。
なお、「Onkyo HF Player」はiOS版、Android版とも基本的には無料のアプリだが、今回の新機能を含むハイレゾ再生については課金による追加機能となる可能性がある(現行のiOS版では1,000円の課金)。ただし、DAC-HA300のユーザーは無料でフル機能を利用できる見通しだ。また、Windows版とMac版の「Onkyo HF Player」も同時期に提供を開始する予定だ。