スマートフォンの利用コストが抑えられるMVNOサービスが人気を集めている。最近では、格安SIMカードとスマートフォンをセットで販売する"格安スマホ"も注目度が増している。格安スマホというと「スペックも低いのでは? 」と思われがちだが、実際には高性能なスマートフォンも次々と「格安スマホ」として市場に出てきている。その好例がASUS製の「ZenFone 5」。大手携帯キャリアが販売していない、魅力あふれるスマートフォンに仕上がっている。
そこで本稿では、ZenFone 5とSIMカードをセットで提供しているMVNOサービス各社のサービス内容を比較し、どのサービスがお得かチェックしてみた。対象となるのは、ハイホー、ニフティ、楽天モバイルの3サービスである。
ZenFone 5の特長
本題の前に、まずはZenFone 5の特長を簡単におさらいしておこう。同端末は、ASUS JAPANが今秋発売した5インチのAndroidスマートフォン。SIMロックフリーのため、NTTドコモのネットワークを利用したMVNO各社のサービスが利用できる。参考までに、ASUSオンラインショップでの価格は16GBモデルが28,944円(税込)となっている。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、レッド、ゴールドの4色で展開する。本体サイズは72.8(W)×148.2(H)×10.34(D)mm、重量は145g。OSはAndroid 4.4、プロセッサには1.2GHzのクアッドコアCPU(Snapdragon 400)を採用する。RAMは2GB。端末の背面に800万画素のメインカメラを、前面に200万画素のインカメラを搭載している。ソフトウェアの面では、高い文字変換精度を誇るジャストシステム社製の「ATOK」を標準搭載。スピーディーな文字入力が行える。
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本稿で比較するのは、ハイホーの「hi-ho LTE typeD ミニマムスタートwith ZenFone 5 【LTE】」、ニフティの「NifMo(ニフモ)」、楽天の「楽天モバイル」の3サービスである。いずれもZenFone 5と格安SIMをセットで販売している。3サービスすべてNTTドコモが提供するLTEサービス「Xi」エリア、およびFOMARエリアに対応しており、下り最大150Mbpsの高速LTE通信を全国の幅広いエリアで利用できる。
端末価格に違いが!
さて、それではZenFone 5の価格と支払い方法、ネットワークの月額利用料金を比較してみよう。ハイホーではZenFone 5(16GB)の端末代込みのコースを提供している。2年契約が必須。月の通信容量は2GBで、データ通信専用なら月額1,980円で利用できる。SMS機能を付加させると140円/月、音声通話機能を付加させると700円/月の追加料金がかかる仕組みだ。ちなみに2年経過後は、データ通信専用なら月額933円になる。つまり差額の1,047円を24回で割賦払いしている計算になる。このことから、端末価格は1,047円×24=25,128円と分かる。
NifMoではZenFone 5(16GB)の一括払いと割賦払いの両方を提供している。一括払いの場合は31,112円。割賦払いの場合は月額1,297円の24回払い(総額31,128円)となる。音声通話機能を付加させると700円の追加料金が発生。データ通信プランは、2GB(900円/月)、4GB(2,500円/月)、7GB(3,500円/月)に対応する。2GBプランを選択した場合、1,297円+700円+900円=月額2,897円となるが、いまならキャンペーン中につき月額2,697円で提供している。
楽天モバイルの提供するZenFone 5は、内蔵ストレージが8GBとなる。市販モデルの半分になっているので、スマホでたくさん写真を撮りたい人や、好きな音楽を入れて使いたい人は注意が必要だ。端末は一括払いのみ提供しており、価格は26,400円となっている。購入時には楽天ポイント1,500ポイントが付与される。料金プランは、通信速度最大200kbpsのベーシックプラン(1,250円/月)、2.1GBパック(1,600円/月)、4GBパック(2,150円/月)、7GBパック(2,960円/月)を用意する。
NTTドコモのネットワークを利用し、同じスマートフォンを扱う3社だが、料金形態が異なることがお分かりいただけたと思う。端末価格についてはハイホーが最安で、ASUS JAPANのオンラインショップよりも安価に提供している。NifMoでは一括払いと割賦払いの両方に対応しているが、価格設定はやや高め。楽天モバイル版では、ストレージの小ささに注意が必要だった。
独自サービスの違い
このほか3社では、それぞれ独自の自社サービスを乗せることで差別化を図っている。通信容量が2GBに設定されているハイホーでは、オプションで通信容量が追加(チャージ)できる仕様。低速時は200kbpsとなる。しかし同社のサービスで特筆すべきなのは、この低速時に機能する「バーストモード」にある。これは、"通信し始めの一定量だけ、低速を解除して高速通信できる"という機能だ。テキストメインのWebサイトやTwitterのタイムラインなどでれば、すぐに読み込みが完了する。これにより、例え利用制限時であっても、ストレスは最小限に抑えることができる。
NifMoでは、ソフトバンクテレコムが提供する公衆無線LANスポット「BBモバイルポイント」が無料で利用できる「NifMoコネクト」を提供。専用アプリでWi-Fiの電波を自動で検知し、接続の切り替えが行える。JR駅構内や空港、カフェ、ファーストフード店など、BBモバイルポイントのステッカーのあるエリアで高速インターネット通信が利用可能となる。また、ECアフィリエイトやリワード広告の売上を還元することで毎月のNifMo料金を割引する会員サービス「NifMoバリュープログラム」も用意されている。
楽天モバイルでは「楽天ポイント」が利用できること、他の楽天サービスがシームレスに利用できることが特長として挙げられる。同社のサービス利用者なら、利便性が高まることが期待できる。また10円/30秒の「楽天でんわ」が利用可能。これにより、電話代を圧縮することができる。このほか、渋谷区神南にある「楽天カフェ」でスタッフにサービスの概要を聞くことができる点もメリットとなっている。
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本稿で紹介してきた格安SIMサービスのうち、一般ユーザーが最も無駄なく使えるものを選ぶとしたら、どのサービスになるだろうか。
それは、ハイホーの「hi-ho LTE typeD ミニマムスタートwith ZenFone 5 【LTE】」ということになりそうだ。契約時に選択したデータ通信容量を使い切ったあとは低速モードに入る点は3社とも同じ。しかし、ハイホーであれば200円/100MBで追加チャージできるほか、低速時にもバーストモードにより使い勝手を損なわない。月額料金も最安値となっている。また、ハイホーに加入したユーザーを対象に「楽天でんわ」の通話料1,000円分のクーポンを無料で提供している。あわせて利用すれば通話料金をおさえて音声通話が利用できる。Wi-Fiスポットを有効に使いたい、ショッピングで割引やポイントを活用したい、という人ならNifMo、楽天モバイルも選択肢に入ってくることだろう。
"格安スマホ"の魅力は、なんといってもその利用料金の安さにある。データ通信量の大きなプランは大手キャリアの提供するサービスと差がなくなるため、格安SIMサービスならではのメリットが損なわれる。このため、市場では今後ともデータ通信量2GB近辺のサービスが人気を集めるのではないだろうか。
ハイスペックなZenFone 5が格安スマホのラインナップに加わったことは、いちユーザーとして嬉しい限りだ。格安SIMサービスでZenFone 5を使いたいと考えている人は、本稿を参考にしてほしい。