受験シーズンを目前に控えた12月、「新習慣『家族うがい』でインフルエンザから受験生を守る」をテーマとしたプレスセミナーが、国際感染症センター トラベルクリニック医長の金川修造先生と、坪田塾代表取締役塾長の坪田信貴氏を登壇者に迎え、JPタワー ホール&カンファレス(東京・千代田区)にて開催された。
2014年は、12月初旬の時点で各地自体などがインフルエンザ流行シーズンの始まりを報告しており、対策の実施を呼びかけている。特に、受験生がいる家庭では最もかかりたくない時期であり、効果的なインフルエンザ対策の情報が求められているはずだ。インフルエンザの主な対策には、「ワクチンの接種」「手洗いの徹底」「マスクの着用」「うがいの習慣化」という4つを行うことが理想的とされているが、本セミナーでは意識が低下している「うがい」に着目し、より効果的な実施方法として「家族うがい」の効果や重要性が解説された。
受験生の体調管理を家族でサポートするための「家族うがい」
坪田信貴氏のセミナーは、「合格に導く家族のサポート -試験直前のメンタル、体調、生活管理とは-」と題し、過去に坪田氏が対応した受験生やその家族の事例を交えた講演が行われた。
例えば、母親だけが受験に協力的であり、あまり関心を持っていなかった父親が、受験前になって今までの方針とは異なることを言い出すと、何を信じて良いか分からなくなって失敗するケースがあるようだ。講演では、勉強方針や睡眠時間、志望校などで両親や家族間で意見が食い違ったために、悩みを抱え込んでしまった受験生の話などが紹介された。逆に、入塾の際の面談は母親と生徒の2人で来るパターンが多い中、両親が揃って受験生と一緒に面談に来た場合では、志望校にほぼ100%の確率で合格しているという。
家族で意見を統一させることは体調管理においても重要で、今回のテーマである「うがい」に関しても、両親が揃って必要だと考え、家族全員で実施することが望ましい。うがいに関して無関心であったり不必要と考える家族がいると、受験生も本当に必要なのか分からなくなってしまうのだ。これは、うがいに限らずマスクの着用や睡眠時の加湿、受験に向けた生活リズムの調整などにも言えることで、実際に効果があるのかを疑ったりせずに、家族全員が協力して実践することが大切とのこと。
これからの受験シーズンに向けて、気温や湿度が下がって感染症にかかりやすい気候が続く。特にセンター試験の日は雪が降ることが多く、坪田氏が受け持った生徒の中でも、当日になって体調を崩してしまって受験に失敗したケースは珍しくない。受験生を持つ家庭では、うがいが大切であることを家族全員が認識・実践する「家族うがい」を習慣化してほしいと語った。
インフルエンザ対策にうがいは有効なのか?
金川修造先生のセミナーでは、感染症対策としてのうがいの効果、家族でのうがいの重要性、うがい薬に含まれている成分「ポビドンヨード」の効果などに関する講演が行われた。
インフルエンザは、エジプトのミイラから検出されたほど大昔から存在し、1930年代にはウイルスも発見されているが、未だに抑え切ることができない感染症だ。感染力が強くて一気に広がることが最も問題であり、完全に制圧できる方法が見つかっていない以上、感染を最小限に食い止めることを考えなければならないという。
インフルエンザの感染は、咳やくしゃみなどで飛ぶ飛沫や、その飛沫が付いた物を触った手を経由して体内に取り込む経路が多い。そのため、マスクや手洗いは有効な予防手段と認められているが、うがいの効果は懐疑的な見方をされることもある。しかし金川先生は、感染の拡大を防ぐために良いと思われることはできるだけ行うことが大切であり、うがいもそのひとつであるという。
うがいの効果は、口内に入ったインフルエンザウイルスやそのほかの細菌やウイルスなどを、完全ではないにしろ洗い流すことができること、口内や喉の乾燥によって感染しやすい病気のリスクを減らせることが挙げられる。さらに、「ポビドンヨード」などのうがい薬を使うことで殺菌効果や整菌効果も期待できるため、口腔衛生の観点からも注目されているのだ。
学生がインフルエンザに感染する場合は、学校か家庭のどちらかが感染経路となることが多く、家庭では行動範囲の広い社会人(親や兄弟)がウイルスを持ち込む可能性が高い。そのため家庭においては、学生本人はもちろん、社会人を含む家族全員で「家族うがい」を行って、口から飛ぶ飛沫中のウイルスを減らすことが大切とのこと。さらに、ウイルスや細菌を抑える力が強いうがい薬「ポビドンヨード」のうがい薬を使用すれば、飛沫中のウイルスの不活性化や減少が期待できるという。
最後に、こうした予防策はダイエットと同じように継続することが効果を高めることになるため、家族全員が予防意識を持ち続けてほしいと語っていた。