12月11日から13日まで東京ビッグサイトで開催された「エコプロダクツ2014」。カシオ計算機は、「テクノロジーとエコロジーの調和」をテーマにしたブースを出展し、省資源・省エネルギーなどに配慮した「カシオグリーンスター商品」や、輸送手段の改善によるCO2排出量の削減や生態系を保全する活動などを紹介した。
カシオグリーンスター商品とは?
カシオ計算機では、環境にかける負荷を最小化するため、自社商品が環境に与える影響を「資源の使用量」や「消費電力」など様々な側面から評価している。その中でも、特に厳しい審査基準をクリアした商品を「カシオグリーンスター商品」として認定しているという。
例えば写真の電子ピアノも、カシオグリーンスター商品のひとつ。というのも実はこの商品、回収された使用済み食品トレイを原料にした「再生プラスチック材」を使用しているのだという。
どのような経緯で、食品トレイに注目したのだろうか。説明員は、その経緯について次のように説明した。「白い食品トレイは、再び食品トレイとしてリサイクルできます。でも、色がついている食品トレイは色が混ざり合い真っ黒になってしまうためリサイクルできません。このため、用途が限定されていました。従来なら公園のオブジェにするとか、廃材として燃やしてしまうといった用途しかありませんでした」。
そこでカシオ計算機では、素材が混じり合った原材料をフィルターでろ過して再生プラスチック材に生成する技術を開発した。「製品にもよりますが、電子楽器は筐体が大きいため、使う再生プラスチック材の量も多く、食品トレイメーカーも喜んでくれています。色つき食品トレイ由来の再生プラスチック材は、これまであまり使われなかった材料なので、当社としても安定して材料が手に入るというメリットがあります」(説明員)。現在では、電子楽器の複数のモデルに、この再生プラスチック材を使っているという。
植物由来のプラスチック材を採用
カラーページプリンタ「SPEEDIA GE6000」では、トナーカートリッジ、ドラムユニットなどの消耗品に植物由来の原料から作られた「バイオマスプラスチック材」を採用している。大気中のCO2から植物が光合成してつくった材料なので、石油を原料としたプラスチックよりもCO2の排出量を低く抑えることができる。「バイオマスプラスチックを製品本体に使っているメーカーはありますが、当社はCO2排出量の削減効果を考え、交換頻度の高い消耗品に採用しました」と説明員は話す。
エコな商品を多数展示
このほか、同社のブースでは、太陽光で駆動する電波ソーラー時計、水銀を使わずに高輝度で長寿命の光源を実現したデータプロジェクターなどのカシオグリーンスター商品を展示した。
輸送手段の転換でCO2削減!
このほか、輸送手段の転換を図るモーダルシフトでもCO2の削減例も紹介している。拠点の統廃合や輸送距離の短縮といった改善に加えて、トラック輸送中心から貨物列車中心の輸送に切り替えることで、導入前と比較して約300トン/年のCO2削減を実現(2013年実績)。同梱品の見直しや緩衝材の工夫などによりデジタルカメラや電子辞書といった製品のパッケージを小さくしたことも、輸送時のCO2削減に一役買っているという。
また、例えば生産拠点(中国)からアメリカへ製品を輸出する場合、これまでならシカゴにある倉庫に製品を輸送し、そこから取引先の物流センターへ輸送を行っていた。これを直接、取引先の物流センターに送る方法に改め、導入前に比べて約545.5トン/年のCO2削減を実現した(2013年実績)。
電卓組み立て教室などイベントスペースも盛況
カシオ計算機のブースにはイベントスペースが設置されており、ものづくりの面白さを体験できる電卓組み立て教室、スタンプメーカー「ポムリエ」によるスタンプ作り体験教室、カシオのエコに関する取り組みが学習できるクイズなどが行われていた。
全社をあげて、様々な分野で環境に配慮したものづくりに取り組んでいるカシオ計算機。その企業姿勢に敬意を評するとともに、今後の取り組みにも期待したい。