師走になり、急に気温の冷え込みが厳しくなってきた。それと同時に、手足の冷えに悩む人も急増しているだろう。この手足の冷えは「末端冷え性」と呼ばれるものだが、最近では本人に冷えの自覚がないのに、体の内側が冷えている人も少なくない。
ちまたでは、さまざまな冷え対策グッズが発売されたり、体を温めるのに効果的な食材が紹介されたりしている。だが、肌表面だけを温めても根本的な解決にはならない。そこで、お金をかけず、簡単に冷えを解消する方法を紹介しよう。
冷えの原因はライフスタイル!?
冷え対策というと、カイロで温めたり、靴下を重ね履きしたりすることで対応している人もいるかもしれない。だが、表面だけ温めても、冷えが解消できるのは一時的にすぎない。逆に、体表の温まった血液は外に熱を放出しようとするため、結果として体の熱が奪われ、より冷えやすくなってしまうことにもつながりかねないのだ。
「効果的な冷え対策」を知るため、まずは冷えが発生するしくみを理解しよう。
冷えは、疾患などが原因で発生することもあるが、大半はライフスタイルと比例するのだ。普段から体を動かす習慣が少ないと、筋肉量が低下する。筋肉は体の熱を生み出す部分のため、その量が少ないと当然ながら体は冷えやすくなる。男性よりも女性の方が冷えやすい主な理由として、男性に比べて女性の筋肉量が少ないことがあるとされている。
また、体を動かす習慣が少ないと、手足の末梢(まっしょう)の血管が開きにくくなる。それに伴い血行が悪化し、手足の末端が冷えるという悪循環が起きる。血管は、運動などの刺激を受けると、血流が血管内壁を刺激する。このときに血管内に一酸化窒素を増加させ、それによって血管を広げ、筋肉の運動によって温められた血液をどんどん末梢(まっしょう)へと流してくれているのだ。
放置すると、免疫力の低下などにつながるケースも
冷えを放っておくと、体にさまざまな問題が発生する。特に、体の内側の冷えが問題視されている。体温が36度未満の人は、内側が冷えている可能性が高いと言われている。体が冷えると免疫力が低下し、それに伴い風邪やインフルエンザなどの感染症、心疾患などの病気にかかりやすくなると言われている。
冷えの原因として問題なのは、「動かない生活」にある。冷えを解消するには、この反対の「動く生活」をすればいいのだ。運動面を含め、簡単にできる冷え対策の方法をいくつかご紹介しよう。
対策1 すぐにできる「妄想ウオーキング」
なかなか運動する時間がないという人は、ウオーキングがお勧め。ただ歩くよりも、「ウオーキングをするんだ」という意識をプラスするとより効果的だ。まず、実年齢よりも5歳以上若返った気持ちを持つ。さらに、モデルになったような気持ちで、背筋を伸ばしておなかを引っ込めよう。その姿勢の状態を崩さないようにして、少し大股で歩いてみるといい。これだけでかなりの運動量になるのだ。何回に分けてもいいので、1日にトータルで30分は歩くように心がけよう。
対策2 ふくらはぎ運動で血流アップを狙う
ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれる部分で、ここの血流をよくすると冷え対策にもつながる。まずは、机などに軽く手を添えて、肩幅ぐらいに足を開く。そこからゆっくりとつま先立ちになる。次にかかとを下ろして、つま先を上向きにアップ。あとはつま先立ちとかかと下ろしの一連の動作を繰り返すだけだ。1セットを2分として、1日に3回ぐらいやると効果が得られやすい。
対策3 筋肉を作るために、たんぱく質を摂取する
筋肉量を増やすためにも、肉や魚、豆類のたんぱく質摂取は基本だ。特に女性はダイエットを意識して、野菜中心の食事の人が多い。そのため、たんぱく質が不足しがちだ。野菜にも重要な栄養素は含まれているが、筋肉や血管を考えるとたんぱく質は必須。意識して摂(と)るようにしよう。
対策4 朝は温かいごはんを食べる
最近、「低炭水化物ダイエット」がブームになっている。炭水化物を過剰に摂取するのは肥満の原因になるが、大幅に抜いてしまうと体は冷えやすくなるのだ。炭水化物は熱を作る即効性があるため、朝の通勤前に炭水化物を摂(と)るのは効果的。お勧めは、ホカホカのご飯やおにぎりだ。
対策5 就寝時の冷えが気になる人は"瞑想"にトライ
ベッドに入って手足が冷たいと、なかなか眠りにつけない。手足から体にたまった熱を放出することで深い睡眠につくことができるため、冷えは睡眠の邪魔になってしまう。寝るときに冷える人は、手足を温める動作をプラスしてあげるといいだろう。お勧めなのは、簡単な瞑想(めいそう)法だ。まずはベッドや布団の上に正座する。両手は前で組むようにして、手のひらは両脇に挟む。そのまま背中を丸め、ボールのような状態で2~3分間、瞑想(めいそう)する。そのあとは、普通に休むだけでOK。これだけで手足の血流がよくなり、熱放出しやすい状態が期待できる。