2027年に開業予定のリニア中央新幹線。 東京・品川~名古屋間を最速40分で結ぶJRの新線で、国土交通省が10月17日にJR東海の工事実施計画を認可し、2015年にも着工する。南山大学理工学部の三浦英俊教授はこのほど、「“都市間の流動の解析」”考える“リニア中央新幹線開通の意義”」に関する見解を示した。
三浦教授は、“オペレーションズ・リサーチ”と呼ばれる、問題解決のための方法を研究する学問が専門。オペレーションズ・リサーチは、工場の生産システムや新製品の開発など企業における問題や、病院の配置や交通問題など社会的問題への応用も広がっており、その1つが“都市間の交通流動解析”だ。統計調査から交通機関や移動目的別の解析が可能で、統計データを利用して将来のリニア中央新幹線および航空路線の需要予測を行っている。
“ロジットモデル”と呼ばれる統計学的な計算式に基づき、三浦教授がこのほど行った分析によると、品川―名古屋間を結ぶリニア中央新幹線の利用者は、関東・中部・近畿だけで年間2,300万人の予測。また、東京-名古屋間は航空利用者がほとんどいないことから、リニア新線が大阪へ延伸しない限り、航空への影響は少ないと予想する。一方、リニアがより多くの利用者を獲得するためには、公共交通機関利用者だけでなく、自家用車利用者を取り込むことが重要と解説した。
自動車交通渋滞や鉄道の混雑など交通問題は、都市の宿命とも言える長年の課題。三浦教授は「こうした問題に対応するため、GPSや道路交通履歴データといった新しい技術を活用した問題解決が今後の課題」としている。