今年も残りわずか。これから年末に向けて忘年会やクリスマスなどのイベントもめじろ押しだ。ただ、忙しい年の瀬になると「朝起きて疲れが取れていない」とか「風邪でよく寝こむ」という不調を感じる人も出てくるだろう。ハードなスケジュールの年末を乗り切るためにも、この時期から早めに体調管理に取り組もう。

多忙な年末にインフルエンザや風邪が重なってダウン……なんてことになっていないだろうか

免疫力が落ちる原因は、活発な交感神経?

この時期になんとなく不調が続くというのは、2つの大きな要因が考えられる。

ひとつは「急激な気温の低下」だ。単に、寒さで風邪をひきやすくなるということだけでない。寒さは私たちの体にとって、「外からの環境的ストレス」になりうる。気持ちではストレスを感じていなくても、体は寒さをストレスと感じ、何とか寒さから身を守ろうと交感神経を活発に働かせる。

もうひとつは、「精神的なストレス」だ。仕事量が増えたり、イベントが重なって夜更かしが増えたりと、ストレスもこの時期は増加しやすい環境にある。すなわち、「疲れがたまりやすく、気持ちも常に『がんばっている』状態」が続くというわけだ。

緊張が続くと免疫力に関わるNK細胞の機能が低下

この2つに共通しているのが、ストレスによって交感神経が優位な状態にあるということだ。自律神経のひとつである交感神経は、体を興奮状態にする作用があり、体を活発に動かすために働いてくれる重要な神経だ。

だが、常に交感神経が働いてしまうと体は緊張状態が続き、免疫力に関与する「NK(ナチュラルキラー)細胞」の活性が低下してしまうことがある。また、慢性的なストレスは副腎皮質ホルモン、いわゆる「ストレス抵抗ホルモン」を分泌して、免疫を抑制する作用がある。これらの理由から、交感神経が優位な状態が続くと免疫力が低下してしまうと考えられている。

「無理をしない」意識で、免疫力低下を乗り切る

免疫力の低下は風邪や疲れだけでなく、「がん」などのさまざまな病気にも影響する可能性がある。免疫力は、20歳をピークに年齢とともに徐々に低下していくことがわかっている。そのため、免疫力を下げないように日常生活の中で工夫することが大事になってくる。

免疫力低下を避けるためにしておきたいことを5つまとめたので、年末年始に向けて少しずつでもいいのでトライしてみてはいかがだろうか。

対策1 「まぁ、いっか」の精神を持つこと

同じ仕事をしていても、ストレスを感じやすい人とそうでもない人がいる。これはストレスの感受性の問題で、個人差があるのは仕方ない。ただ、ちょっとしたとらえ方の違いで、ストレスの感じ方は変わる。同じ疲れがたまっている状態でも、「つらい、疲れた……」と思う人と「疲れた~のんびりリラックスしよう」と思う人では、受け止め方も変わってくる。深刻に受け止めすぎず、「まぁいっか」「どうにかなるさ」「のんびりしよう」「少しペースを落とそう」と気持ちを切り替えてみることも大切だ。

対策2 ビタミンCなどの水溶性ビタミンをたっぷり摂取

ビタミンには、体の免疫力に作用するものが多くある。ビタミンは大きく分けて、水溶性と脂溶性の2タイプがあるが、免疫力に有効な働きをするのは水に溶けやすい水溶性ビタミンだ。具体的には、ビタミンB群をきちんと摂(と)るとよい。ビタミンCもストレスや免疫力に効果的だが、必須なのはビタミンB群。特にこの年末にお酒を飲む人は、体内のビタミンB群が減少しやすいので、意識してサプリメントなどで補うとよいだろう。

対策3 肝臓の休息日を確保する

肝臓の機能が低下すると疲労感が増え、免疫力が低下する。年末年始はますます仕事も飲み会も増える。必然的に肝臓の機能が低下しやすい時期でもあるので、肝臓を休める努力をすることが肝要。食べ過ぎや飲み過ぎを見直して、休肝日をきちんと設けるとともに、睡眠がきちんと確保できるよう生活サイクルを改善しよう。

対策4 ミネラルを積極的に摂(と)る

免疫力低下を防ぐには、ミネラルも大切だ。特に亜鉛は免疫活性を促進する働きがあるため、積極的に摂(と)ってほしいミネラル。食品だと牡蠣や牛肉、鶏肉、豚肉、卵、ごま、のり、ワカメ、納豆、ブロッコリー、レバーなどに含まれている。ただし微量なので、手軽に摂取するならサプリメントを利用するのも一つの手段だ。

対策5 コラーゲンのパワーを活用する

コラーゲンというと、美肌効果がクローズアップされがちだが、実は免疫力を高める作用があることもわかってきている。コラーゲンは、肉や魚などを摂取することで体にとりこむことができる。また、ビタミンCといっしょに摂取することで吸収されるため、ビタミンCも忘れずに摂(と)るように心がけよう。

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