Green500はVirginia TechのWe Feng教授が主催している。教授は、2002年にGreen Destinyという低電力のTransmetaのプロセサを使う高密度のブレードクラスタの論文を発表し、TCOの観点から性能/電力比について論じた。
これがGreenなコンピューティングを推進することになるスタートであったという。そして、色々な機会をとらえてエネルギー効率の高いコンピューティングを推進するために、Green500リストを作るべきと働きかけた。そして、2009年の11月に実験的なリストを作った。この時は、LINPACK実行のエネルギー効率にフォーカスしたLittle Green500、LINPACK以外の例えばHPC Challengeのエネルギー効率を評価するHPCC Green500、例えば、単精度と倍精度演算を組み合わせてLINPACKのエネルギー効率の改善するような革新的なアプローチを認めるOpen Green500などを試行した。
そして2010年の11月には最初の実行規則を公表し、また、Open Green500はLittle Green500と統合した。さらに、2011年6月にはスパコンのエネルギー効率の測定法に関してEE HPC WGとの協力を開始し、2013年6月には、EE HPC WG、The Green Grid、Top500と共通の新しい電力測定法を採用することになったという。
このように、色々な試行の結果、現在のGreen500が出来上がっているのであるが、まだ、途中段階で、多くの改善が必要な状態である。その中でも、優先度が高いのがLevel 1測定法の改良であるという。
現在、Green500の電力の測定法にはLevel 0からLevel 3までの測定法が規定されている。Level 0はメーカーのカタログ値などを使う方法で、当初は消費電力の実測を行うスパコンセンターが少なかったためにLevel 0を認めたのであるが、近く廃止の方向である。とは言うものの、現在のGreen500リストではTop500のリストの電力値をコピーしているシステムが40%程度を占める。これらは実測ではなくLevel 0相当の値である可能性が高い。従って、直ちにLevel 0を廃止すると、Green500ではなく、Green300になってしまいかねないという悩みがある。
Level 1は簡易な測定で、システム全体の一部(1/64以上、かつ、1kW以上の部分)の電力を測定すればよい。また、測定期間も最初の10%と最後の10%を除いた80%の実行期間の中で20%の期間(か1分の長い方)電力を測れば良い。
これに対して、Level 2はシステムの1/8以上の消費電力を全期間測定する、Level 3は全システムの消費エネルギーを全期間測定する。
現在は、1つのリストの中にLevel 0~3の結果が入り混じっている。特に、実測としては一番緩い条件のLevel 1測定が問題であり、見直しの提案がなされたという訳である。
LINPACKの計算中の消費電力は一定ではない。昔のシステムでは準備期間と終了期間を除いたコアフェーズの消費電力はほぼ一定であったが、最近のシステムではそうではない。右の図は今回9位のPiz Daintの例であるが、終わり近くなると大幅に消費電力が減ってきており、70%の時点から90%の時点までの消費電力を測ると、小さ目に出てしまう。