帝国データバンクは10日、DJ機器メーカー「ベスタクス」が、12月5日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けていたことを報じた。負債は約9億円の見込み。
同社は、1977年に「椎野楽器設計事務所」の商号にて設立。1987年には現商号に変更し、DJ向けのミキサーやターンテーブルなどの製造販売を主力に事業規模を拡大、「Vestax」ブランドを展開した。同ブランドのミキサーやターンテーブルは海外での受賞歴もあるなど、クラブシーンを中心に国内外で高い知名度を獲得。また、大手音楽機器メーカーへのOEMによる製品提供も行うなど技術力への評価も高く、2002年3月期には年売上高約25億1,400万円を計上していた。
しかし、景気減速に伴う消費の低迷から需要が減少していたほか、海外市場においても苦戦を強いられたことで売り上げが漸減。近年は新たな海外法人の設立で収益体制の改善に取り組んでいたが奏功せず、近時の年売上高は5億円を下回っていた。金融機関へのリスケ要請等でしのいでいたが、資金繰りも悪化し、8月末までに事業を停止していたという。