移転に伴い工場のICT化を推進

ミントウェーブは、自治体・民間企業・文教向けのシンクライアントシステムやシンクライアント応用機器、電力系統・設備の監視制御システム、ERP活用・設計支援システムといった、さまざまな分野での製品やシステム、サービスを提供している情報機器メーカーだ。同社の生産拠点の一つである名古屋工場では、主に特定用途端末や医療事務機器端末、汎用シンクライアント端末の製造を行っている。なかでも、某メーカーのOEMとして製造しているファンクションパネルの生産は、年間1万台にも及ぶという。

取材に協力いただいたミントウェーブの皆さん

名古屋工場は2014年3月、移転とともに工場リニューアルを実施した。工場の敷地面積を46.3%削減する一方で、「工場を丸ごとショールームにする」というコンセプトのもと、さまざまなICTの導入によって生産業務の効率化を実現している。工場移転の半年前から生産業務の効率化プロジェクトがスタートし、「見える化の工場」を目標に、シンクライアント組立指示システムの構築、作業時間の見える化のための電子行灯の導入、組立・検査屋台の作業状況の常時監視の導入といった施策が行われた。

名古屋工場では、主に特定用途端末や医療事務機器端末、汎用シンクライアント端末の製造を行っている

従来、工場内に紙ベースの説明書や手順書を貼っていたが、モニター画面に手順や注意事項を指示するシンクライアント組立指示システムを構築したことで、記憶に頼らない生産が可能になった。電子行灯の導入では、大型モニターに計画時間と実績時間の差異を映し出すといった、作業時間の見える化を実現したという。また、組立業務の作業状況をすべて録画することで、出荷後の不良検証や再発防止に活用している。

株式会社ミントウェーブ 名古屋工場長
寺西 和弘氏

さらに効率化プロジェクトでは、これまで紙ベースで管理されていた部品の入庫・出庫作業のICT化を検討し、電子帳票ソリューション「ConMas i-Reporter」(以下、i-Reporter)を導入した。i-Reporterを採用した背景を名古屋工場長 寺西和弘氏は「当社の電気自動車用急速充電器の保守サービスを行っている部門が、フィールドでの点検業務にi-Reporterを利用していることを知り、工場での入出庫作業に活かせないかと考えたのです」と振り返る。

以前の名古屋工場の入出庫作業では、部品が工場に入荷されると、まず紙ベースの在庫管理票に入庫数と在庫数を手書きで記入し、さらに別の作業者がそれを生産管理システムと基幹業務システムへと転記していた。また部品を出庫する際にも、同様に紙ベースの在庫管理票で管理しており、入出庫の際の入力業務が作業者の大きな負担になっていたという。生産グループ 課長の吉永祐一氏は「従来は生産する製品の原材料1点ずつに紙の管理表が存在し、それぞれの部品が入ってくるたび、あるいは使うたびに紙へ記入するため、記入漏れや間違いが発生していました。さらにミスを防ぐための二重チェックにも手間がかかり、作業時間が増える原因となっていました」と語る。