協和発酵バイオはこのほど、プレワークアウト研究会の発起人である小林義典氏(北里大学薬学部生薬学教室教授)とともに、ヒトを対象にプレワークアウトにおける「シトルリン」摂取が運動パフォーマンスの向上につながることを実証した。同成果は12月20日に行われる「第162回日本体力医学会関東支部会」にて発表予定。

「4km 走破時間」

シトルリンはスイカなどウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種。シトルリンを摂取することで、運動時など身体に負荷がかった際、体内でNO(一酸化窒素)の産出を促すことにより、血管が拡張して血流を促進する効果があるという。さらに血流促進により、酸素や糖の組織への運搬が円滑になることで、持久力の向上や筋肉疲労の改善など運動パフォーマンスの向上効果が期待されることから「スーパーアミノ酸」とも言われているとか。

プレワークアウトとは、運動のパフォーマンスアップに向けて、運動前にサプリメントやスポーツドリンクなどを摂取することで体の内側から働きかけることを指す。具体的には、体内でNOを産生させ、血流を促進する作用を持つアミノ酸(シトルリン、アルギニン)が配合されたスポーツドリンクやサプリメントを運動前に摂取することにより、運動時のパフォーマンスアップにつながるとか。すでに欧米では一般的な習慣として確立しているという。

「酸素利用効率」(単位酸素消費量あたりの回転強度)

同調査は、日頃から運動習慣があり運動機能の高い20~30代の男性22人を対象に行った。被験者を2群(A群・B群)に分け、試験食としてシトルリン2.4g/日もしくはプラセボを8日間経口摂取させ、最終日の試験食摂取1時間後にエルゴメーター(運動機器)による4kmのタイムトライアルを実施。走破時間、酸素利用効率、運動に関する主観的な指標(VAS)などを測定した。

「VASアンケート結果」(運動試験直後)

プラセボ摂取群に比べ、シトルリンを摂取した群では走破時間が有意に短縮され、酸素利用効率が向上する傾向にあることがわかった。さらに、運動直後の体感アンケート(VAS)によると、「筋肉の疲れ」「集中力」に関して有意な改善効果が見られ、「全体的に楽にこげた」と回答する傾向が認められた。

また、アンケートの自由記入でも、シトルリンを摂取した際は、「疲れが少なかった」「翌朝の目覚めがよく快調」などと回答。一方でシトルリンを摂取しなかった際は、「体がダルく重たい」「体力的にきつかった」「翌朝の起床時に疲労感が取れない」などと回答した。この結果より、シトルリンには運動時の持久力の向上や筋肉疲労を改善する効果があることが示された。

小林氏は、「シトルリンは、運動時など身体に負荷がかかるとき、特に血液の供給が必要な部位においてNO産生の供給源となることにより、血管を拡張させる働きがあります。そのため、ランニングを始めさまざまなスポーツシーンでの有効性が期待できます」とコメントしている。