インフルエンザ発症、薬の服用タイミングと自宅待機期間について
強い感染力のあるインフルエンザ。もし、かかってしまったらどのように対応すればよいのだろうか。ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに、インフルエンザにかかってしまった後の治療法や過ごし方、自宅待機期間について聞いてみた。
抗インフルエンザ薬は48時間以内が効果的
インフルエンザの治療は"スタートダッシュ"が肝心。早め早めの対処をすることで、薬の効果が変わってくると山岸さんは話す。
「インフルエンザの薬の効果は、症状が出始めてからの時間や病状によって異なり、医師の判断によっては必ずしも処方されるとは限りません。抗インフルエンザウイルス薬は発症から48時間以内に服用することが効果的で、それ以降に服用しても十分な効果が期待できません。症状が出始めたら、なるべく早く病院を受診するようにしましょう」。
主な処方薬としては「タミフル」「リレンザ」「イナビル」などがあるが、どの薬も処方箋(せん)が必要なので医師の指示に従って服用することが大切だ。
ただ、医薬品を服用した後に未成年者や幼児が部屋から急に飛び出すなどの異常行動を起こした例がある、との報告がある。因果関係の有無は解明されていないが、万一の場合に備えて、インフルエンザの処方薬を子どもが服用した場合、親や周囲はしっかりと気をつけるようにしよう。
体力を温存し、安静にする
インフルエンザは、高熱や関節痛などの全身症状がひどくなるため、なるべく安静にして体力を温存するように心がけるようにするとよい。
「しっかりと睡眠をとって、休養するようにしましょう。お茶やスープなど、飲めるもので水分補給することも大切です。食事が思うように取れない場合は、栄養ドリンクなどで補給することも有効なので、体調をみて活用しましょう」。
せきやくしゃみが出る場合は、周りの人に感染させないためにもマスクなどを着用して、ウイルスを拡散しないよう努めよう。
「発症後5日、かつ解熱後2日」は自宅待機が正解?
熱が下がって症状が治まったからといって、油断はできない。ウイルスをまだ体から排出している可能性があるからだ。職場や学校へはいつ頃に復帰したらよいのだろうか。
「インフルエンザウイルスは発症後、最大で7日ほどウイルスを排出し続けるので、症状が治まってからもマスクを着用して、周囲の人に配慮しましょう。ウイルスの排出期間には個人差があるので、学校や職場への復帰時期は医師に相談してください」。
ちなみに、学校における児童生徒や職員の健康の保持増進などを目的とした「学校保健安全法」では、「発症後5日、かつ解熱後2日(幼児は3日)」を経過するまでをインフルエンザによる出席停止期間としている。ただし、あくまで目安であるため、医師によって感染の恐れがないと認められれば出席できるので、まずは相談しよう。
もしインフルエンザになってしまったら、早めの対処で症状は軽くなる場合が多い。正しい知識を持ってしっかりと休養して、つらい症状を乗り切ってほしい。
取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん
ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。