アッヴィはこのほど、腰痛に関する調査結果を発表した。同調査は10月、全国の20~40 代の若手ビジネスマン8,745名を対象にオンライン調査を実施したもの。また、そのうち3 カ月以上続く腰痛を訴える1,236名より、日常の対処や仕事への影響について回答を得た。
3カ月以上長引く体の不調について聞いたところ、働き盛りのビジネスマンの29.9%が腰痛を抱えていることがわかった。
「長引く腰痛」を抱える人のうち、一般的な腰痛とは異なる痛みがある「炎症性腰背部痛」(以下IBP)を有する人は25.9%にものぼった。その診断基準は、「腰痛の発症が40歳以前」「発症が緩徐」「運動で軽快する」「安静では軽快しない」「夜間痛(起き上がると軽快)」の5つのうち4つ以上にあてはまる場合に疑われるとのこと。
「強直性脊椎炎」は、初期ではIBPが現れ、長期では脊椎の硬直などが生じることもある難病だが、「名前も知らなかった(初めて聞いた)」と回答した人が81.5%にも及んだ。実際に、10~20代から発症するものの確定診断に至りづらく、単なる腰痛症や坐骨神経痛と間違われることも少なくないそう。また、初期症状とされるIBPが現れている人でも、強直性脊椎炎については約6割が知らないことが判明。さらに実際に、強直性脊椎炎と診断されたことのある人は40人もいることがわかった。
「長引く腰痛」の痛み程度(つらさ)を聞いたところ、全体の76.5%が「かなりつらい/つらい」と訴え、痛みに悩まされる日々が続いていることが示唆された。また、IBPの疑いがある人では、86.8%にのぼった。
「『長引く腰痛』の診断・治療のために医療機関を受診したことがあるか」を聞いたところ、ビジネスマンの38.5%は未受診ということが判明。「かなりつらい/つらい」状況の人でも33.1%が未受診ということがわかった。腰痛の中には進行すると深刻な状態をもたらすものもあるため、適切な対処の遅れが懸念されるという。
「長引く腰痛」の診断・治療のために現在、医療機関を受診している人は1割(10.1%)のみだった。未受診理由は、「我慢しようと思えば我慢できるから」(46.0%)「お金がかかるから」(43.1%)「面倒だから」(36.8%)の順に多くあがった。
腰痛のイメージを聞いたところ、「姿勢など生活習慣により生じる病気」(79.0%)が最多。続いて「職業病」(66.2%)「年寄りくさい」(30.4%)の順に回答が多かった。
「長引く腰痛」が日常生活に及ぼす影響について聞いたところ、最多支障は「長時間座っていること」(48.0%)だった。仕事への影響において「大幅に低下/低下」することは「スピード感」(23.9%)「モチベーション」(22.5%)「集中力」(21.9%)という結果に。また、「長引く腰痛」が原因で、仕事を休んだことのある人は29.4%となり、休みたいと思ったことのある人を含めると約7割にのぼった。
「長引く腰痛」に関しての相談相手を聞いたところ、「家族」が55.3%で最多だったのに対し、3人に1人(31.8%)は「相談相手は特にいない」と回答した。同様に、「長引く腰痛」を心配・指摘してくれる人も「家族」が最も多かった一方で、36.2%は「特にそういう存在がいない」と回答した。
同調査結果を受けて、東京大学医学部整形外科・脊椎外科講師の門野夕峰氏は、「今回、強直性脊椎炎のスクリーニングポイントとなる、一般的な腰痛と異なる痛み(炎症性腰背部痛)を有する方は意外にも多く出現したことから、強直性脊椎炎は日本でもわれわれの想像以上に潜在している可能性があります。詳しい診断は、整形外科やリウマチ科で受けることができます。治療は、『NSAIDs』などの鎮痛薬が基本となりますが、最近では、生物学的製剤と呼ばれる新しい種類の治療薬も使えるようになっています。長引く腰痛がある場合には、適切な専門医に相談していただき、これからのご自身のパフォーマンス向上に生かしていただければと思います」とコメントした。