ホンダがこのほど発表した新型ハイブリッドセダン「グレイス」。アジア諸国では今年1月から「シティ」の名で販売されており、ついに日本でも発売されることになった。ホンダ本社ビル(東京・青山)での発表会にて、実車を見学した。

ホンダの新型ハイブリッドセダン「グレイス」

いうなれば「セダンタイプのフィット ハイブリッド」

「グレイス」は5ナンバーサイズのコンパクトなセダンで、ハイブリッド車のみ設定されている。「フィット ハイブリッド」と同様、1モーターと1.5リットルエンジンを組み合わせたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載し、顔つきやプレスラインもどことなく現行「フィット」を連想させるデザインに。「セダンタイプのフィット ハイブリッド」と言ってしまってもいいだろう。

昨年発売された2モーターの「アコード ハイブリッド」、先月発表された3モーターの「レジェンド」、そしてこの「グレイス」で、ホンダ「EARTH DREAMS セダンシリーズ」のラインナップも出そろった。近年のホンダは、「フィット」「オデッセイ」など子育て世代にも重宝されるワンボックスのイメージが強かったが、これでショールームの雰囲気も少し変わるのではないだろうか?

「フィット」を連想させるコンパクトな4ドアセダン

ハイブリッド車のみの設定で、「SPORT HYBRID i-DCD」を全車に搭載

乗用車としてオーソドックスな形であるセダンは、中高年層を中心に根強い支持があると聞く。「グレイス」のサイズ感やスタイリングは、発表会で引き合いに出された3代目「シビック」をはじめ、かつての日産「サニー」やトヨタ「カローラ」といった定番セダンの流れを汲むようにも思えた。「フィット」と違って保守的で落ち着きのあるボディカラー全6色にも、年長者へのアピールが感じられた。

コンパクトで扱いやすい5ナンバー車、もっと充実してほしい!

筆者としては、5ナンバー車の選択肢が増えたことがうれしい。昨今の大型化・ワイド化の流れは止まらず、ホンダでいえばあの「シビック」までも最終的(国内仕様の最終型)には3ナンバー化されたほどだが、だからといって道幅や駐車場の拡幅が進んでいるかというと、決してそんなことはない。扱いやすい5ナンバー車がもっと充実していいはずだ。

発表会で登壇した本田技術研究所四輪R&Dセンター開発責任者の広瀬敏和氏は、コンパクトなボディを生かすため、運転しやすさにこだわったと説明。「セダンらしい落ち着きをめざして、ドライビングポジションは低めにしながらも、運転しやすい安定感のあるシートとしました。奥様にも安心して運転していただけると思います」と述べた。

「グレイス」フロントシート

「グレイス」リヤシート

もちろん、いまどきの5ナンバー車ということで、車幅を規格ギリギリの1,695mmとするなど、居住空間の広さも確保。4ドアセダンということで後部座席も重視し、「リヤシートを最大限後方に配置することで、ロングホイールベースとあいまって、後席の足もとはアコードにも匹敵する広さを実現」(広瀬氏)したとのことだ。

昔ながらの「5ナンバーらしさ」「セダンらしさ」のメリットを現代風に解釈しつつ、新時代を象徴するハイブリッドテクノロジーを搭載した「グレイス」。中高年層のみならず、あらゆる世代に受け入れられる素地があると感じた。