落下のダメージを減らす特許をが認可へ

米特許商標局(USPTO)は12月2日(米国時間)、Appleが「Protective mechanism for an electronic device」の名称で出願していた特許を正式に認可した。落下破損の事故は昨今のスマートフォンではごく身近なものとなりつつあるが、この特許ではスラスターなどの機構を用いることで落下時の位置修正でガラス面を保護したり、接続ケーブルからの巻き添えでの落下を防ぐためにケーブルを強制射出する仕組みを用意したりと、落下による被害を最小限に食い止めるべく、さまざまなアイデアが提案されている。

以前のレポートでも紹介したように、もともとは2011年9月に登録された特許が2013年3月に開示されて話題になったもので、このたび正式に認可となった。

特許番号は8,903,519で「Protective mechanism for an electronic device」の名称が付与されており、USPTOの該当ページで参照できる。

冒頭での説明のように、この特許のポイントは落下検出と、その動きが落下と認められた場合の保護運動の2つにある。加速度センサーやジャイロスコープを組み合わせることで本体が落下状態にあるかを判断しつつ、その状態を認識し、衝突が発生するまでにベストな保護状態がどの体勢かを瞬時に計算する。基本的に落下に対して一番"弱い"と考えられるのはタッチスクリーンのあるガラス面やスイッチ、そしてコネクタ部のため、比較的頑丈なフレーム付近を衝突面とし、弱い部分への直撃を避けるべく内蔵スラスターなどで微妙に衝突位置を修正する。2年間の契約縛りが解けておらず、ガラス面にヒビが入っても端末を使い続けなければならないことに苦痛を感じていたユーザーには朗報だろう。

問題は特許の実現性だが、iPhone採用は難しいと考えている。仕組み的に直撃は逃れられても本体へのダメージは避けられないこと、iPhoneの設計思想が薄型軽量化に進むなか、各種ギミックを搭載することによる重量やコスト増と比較し、本体交換のほうがコストや手間的にもメリットが大きいため、あくまでアイデア止まりというわけだ。一方でApple InsiderはiPhone 6とiPhone 6 Plusにバイブレーション用の専用モーターが取り付けられており、もし本体の姿勢制御に使える装置に接続されれば、こうした特許で示された姿勢制御は容易という見方を示している。自動姿勢制御による落下衝撃吸収という仕組みは非常に夢がある一方で、数千円の投資で保護ケースを購入して比較的安価に対策できるという状況で、ユーザーはどちらを望むだろうか?