ライフスタイルが多様化する昨今、様々な事情でシングルマザーになる女性も増えている。しかし、経済的な事情もあって離婚に踏み切れない婚姻中の母親も少なくないだろう。ここでは、離婚して1人で子どもを育てていきたいと考える母親の方に役立つ情報をファイナンシャル・プランナーの村松祐子さんより教えていただく。

助成金や減免制度を把握しよう

離婚をしてシングルマザーに。やはり不安なのは経済面……?

ひとり親世帯の相対的な貧困率を見ると、50.8%と高い水準になっている現状もあり、生活基盤となる経済力をつけることが離婚を考える母親にとっての課題になります(配偶者のいない65歳未満の女性と20才未満のその子のみで構成している世帯を対象)。離婚によってシングルマザーとなった場合には、遺族年金や保険金等の収入が見込めないため、一人の収入で生計を立て、子の教育資金、自分の老後資金まで備えられるかどうか心配はつきません。

シングルマザーとなってお子さんと暮らしていくために必要な金額を知るために、まず、現在の生活費と教育資金について確認することから始めてみましょう。たとえば、現在、月23万円で生活しているとすると、その7割程度の16万円でのやりくりを目標とします。そのうえで、将来お子さんの教育資金として必要となる金額を把握します。将来、幼稚園から高校まで国公立に進学した場合で約516万円、私立の場合には約1,752万円かかります。更に大学へ進学となると、進学先によりおよそ472万円から750万円の学費が必要になります。ちなみに、中学までは公立、高校から大学は私立へ進学するケースでは1,322万円となります(文部科学省「平成24年度 子供の学習費調査」「平成24年度 私立高等学校授業料等の調査結果」「平成22年度 国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果」「平成24年度 私立大学入学者に係る初年度学納付金平均額調査結果」による。子供の教育費には、学校教育費及び学校外活動費も含む)。

このように毎月の生活費と将来の教育資金を想定し、必要な金額を算出することになります。さらに、生活の基盤をしっかりと確保するための助成や手当の活用を知っておくことは助けになるでしょう。主な手当金、助成金、減免制度は、各自治体などで以下のように準備しています。利用できるものは積極的に申請して活用しましょう。

  1. 児童手当は離婚しなくても貰えますが、所得制限があります。受給額は、3歳未満が月額1万5,000円 、3歳以上は第1子、第2子が月額1万円(第3子以降月額5,000円)となっています。中学生は一律1万円(厚生労働省より)。

  2. 児童扶養手当は、父母の離婚などによる一人親家庭の児童のために、自治体から支給される手当です。手当は、子の人数と所得に応じて決定されます。基本の額は、児童が1人の場合で月額9,680円~4万1,430円。所得額が制限額を超えた場合は支給されなくなります(厚生労働省より)。

  3. 児童育成手当は、18歳まで(18歳になった最初の3月31日まで)の児童1人につき月額1万3,500円が支給されます(東京都の制度)。所得制限があり、自治体により内容も異なりますので注意しましょう。

これらの支給手当金は、将来の教育資金の準備資金としてしっかり貯蓄をしておきましょう。また、上記の他に母子家庭・父子家庭の住宅手当、ひとり親家族等医療費助成、乳幼児や義務教育就学児の医療費助成、所得税、住民税の減免、国民年金・国民健康保険の免除、公営バスや電車の割引、水道料金の減免、保育料の免除と減額などがありますので、しっかりと調べてみましょう。

ただ、手当や助成金は自治体や条件等により、承認されれば交付されるもの。将来的には、母自身の就労で稼ぎ、所得も自分の勤務評定や実績等により増やしていけることが理想です。シングルマザー世帯の平均年収(助成金や手当を含む)は233万円(厚生労働省 平成23年全国母子世帯等調査より)。母自身の平均就労収入は181万円となっています。就学前のお子さんでも、保育料や延長保育、その他サポート利用料含めて月5万円とし年間60万円かかることも予想されます。それらを踏まえると、継続して収入を得られ、将来に不安を残さない雇用環境を準備しておくことが必要です。