毎年、冬になると猛威を奮うインフルエンザ。罹患(りかん)すると、熱が出たり体がだるくなったりするが、それは普通の風邪でも共通して言えることである。それでは、2つの違いは一体どこにあるのだろうか。ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに伺ってみた。
感染力が強く、症状が全身に出るインフルエンザ
風邪は、体内に侵入したウイルスによって複数の症状が引き起こされるが、その多くは「のどの痛み」「鼻水」「咳」などが中心。熱もインフルエンザほど高くならず、全身症状はあまり見られない。一方で、インフルエンザは強い全身症状があるため、区別して考えられている。
「インフルエンザは風邪と比較して、『38度以上の高熱』『全身のだるさ』『関節の痛み』『筋肉痛』など、症状が全身に強く出てしまいます。さらに、免疫力の弱っている方や高齢者では肺炎になってしまったり、お子さんでは急性脳症などを併発してしまったりすることも、まれにではありますが見られます」。
インフルエンザには流行性があるのも特徴だ。人から人への感染力が強いため、短期間に多くの人が感染してしまうことになる。日本においては、毎年12月から3月にかけて流行が見られるので注意が必要だ。
新型インフルエンザや鳥インフルエンザって?
テレビや新聞などのメディアで時折、見聞きしたことがある人も多いであろう、「新型インフルエンザ」や「鳥インフルエンザ」はどのようなものだろうか。
「インフルエンザウイルスは少しずつ変異しており、今までのワクチンや免疫では対応できなくなると、『新型インフルエンザ』として大流行します。最近では、2009年に新型インフルエンザの大流行がありました。ただ、現在は多くの人が免疫を得て落ち着いており、2011年には通常の季節性インフルエンザになっています」。
鳥インフルエンザウイルスは、今のところ人に感染することはほとんど無く、感染した鳥やその死骸、排泄物などに密に接触した場合に限られている。日常生活において感染の危険性はほとんど無いと考えられているが、11月に東京都江東区で回収されたホシハジロの死骸から鳥インフルエンザウイルスが検出された。東京都によると、都内の野鳥から鳥インフルエンザが確認されたのは初めてだという。
「万が一を考えるのであれば、『野生の鳥の死体や排泄物に直接触れない』『鶏肉や卵は十分に加熱する』などの対策が考えられます。鳥インフルエンザに感染する危険性がある地域に行く場合には、不用意に鳥類に近寄ったり触れたりしないようにしましょう」。
インフルエンザ流行のピークはもうすぐ。正しい知識を持つことで、万一、感染してしまっても焦らないようにしよう。
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取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん
ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。