北海道新幹線用車両H5系による列車走行試験が開始された。1日は函館総合車両基地から新函館北斗駅までの約2kmを走行。新函館北斗駅で歓迎セレモニーが開催された。

北海道新幹線の列車走行試験がスタート

列車走行試験は、新幹線での走行にあたり、営業車両を使用して構造物などに問題がないか確認するもの。おもに、すべての線路を時速30km以下の低速度で走行させる「入線・架線試験」、車内信号が正常に作動するか確かめる「ATC現示試験」、時速30kmから設計最高速度の時速260kmまで段階的にスピードを上げる「速度向上試験」の3つがあり、初日は「入線・架線試験」が実施された。

この日、H5系は13時頃に函館総合車両基地を出発。当初の予定では1時間弱で新函館北斗駅に姿を現すはずだったが、試験のため10分ほど遅れ、14時10分頃に新函館北斗駅ホームに入線した。ホームでは地元自治体関係者や100名以上の報道関係者、一般公募で当選した約200名の一般見学者が待ち構え、姿を現した10両編成の北海道新幹線を小旗を振って出迎えた。さかんにカメラのシャッターをきる来場者も多かった。

新函館北斗駅にH5系が入線。歓迎セレモニーが開催された

セレモニーでは北斗市長の高谷寿峰氏が、「駅名決定、車両の陸揚げ、レール締結式と、イベントがあるたびに北海道新幹線が近づいていることを実感します。H5系の勇姿を目に焼き付けたので、いっそう北海道新幹線のPRに努めたい」と挨拶。渡島総合振興局長の宮内孝氏も、「開業効果を高めるため、道内外でのPRなど、オール北海道で取り組んでいきます」と決意を語った。

鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局長の金山洋一氏と運転士へ、地元小学生から花束が贈呈された後、高谷氏・宮内氏ら4名によるくす玉割り、見学者によるホームからの写真撮影を実施。14時40分頃、H5系は新函館北斗駅を発車し、車両基地方面へ折り返していった。鉄道・運輸機構によると、試験走行列車には同機構職員のほか、JR北海道や関係会社の職員など、約70人が乗車していたとのこと。

H5系はこの日、来賓や一般見学者の退場後に再び同駅に入線して停車。ほどなくすべての扉を開け放ち、ホームと車両の間のすき間を計測する作業などを行った。

列車走行試験は2015年3月末まで計60日程度実施される予定。12月2日は車両基地から木古内駅まで走行し、7日早朝に奥津軽いまべつ駅に到達。その後は奥津軽いまべつ~新函館北斗間で1日1~3往復の試験走行が実施されるという。軌道や電気設備の状態を確認し、時速30kmから段階的に速度を上げ、設計最高速度(時速260km)の年内達成をめざす。来年の春から夏にかけて、新青森~奥津軽いまべつ間でも列車走行試験を実施予定とのことだ。

(※一部写真は北海道新幹線新函館開業対策推進機構ならびに函館市公式観光情報サイトはこぶら提供)