ドワンゴとカラーが日本アニメーションの可能性を探るために進める共同企画「日本アニメ(ーター)見本市」の作品群を紹介する番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」の第三回放送が、11月24日にニコニコ生放送にて放送された。

左から吉崎響監督、TeddyLoid氏、井関修一氏

番組には、第三弾作品『ME!ME!ME!』を監督した吉崎響氏、キャラクターデザイン・作画監督を担当したスタジオカラーの井関修一氏 、音楽を担当したTeddyLoid氏が出演。本作は11月21日に「日本アニメ(ーター)見本市」公式サイトでの公開後、その刺激的な内容からネットで大反響を巻き起こしていたが、井関氏は「やっと完成して、やっちまったなと(笑)。感無量です」と一言。吉崎監督は「内容が内容なので不安だったのですが、評価していただけてよかったなと(笑)」と苦笑いするも、満足気が表情を浮かべていた。

フリーランスの映像ディレクター・映像作家でもある吉崎監督は、モニターグラフィックアーティストとして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や『マクロスF』などに参加した経歴を持っており、本企画に関しては「完全に男子目線で好きなものを詰め込んだ」という。「思いの外、女性に好評だった」という吉崎監督の発言から、急遽番組内で男女比を調べるユーザーアンケートを実施すると、視聴者の男女比の結果は男性77.3%、女性22.7%という結果に。

「あなたにとってアニメとは?」に答える吉崎監督、TeddyLoid氏、井関氏

TeddyLoid氏との出会いが本企画スタートのきっかけだったと語る吉崎監督は、オリジナル曲のデモを聞かせてもらった時に「この曲でミュージックビデオを作りたい」と思い、「音楽が大好きなので、自分が思っている通りにやらせてくれるプロジェクトがないかなと思っていたところにこの話がきて、自分のターンがきたな」と感じたという。

本作のテーマは「アニメと音楽のシンクロ」。吉崎監督は、人間臭さを作品に取り込むべく「この映像、テクノなのに見終わった後に人間の泥臭さを見たぞという感じを入れたかった」と本作での狙いを明かしている。一方、大きな反響を呼んだエロ描写に関しては、「自分の中でエロは"かっこいい"という位置づけ」と断言し、「エロというよりはそれも含めてかっこいいでしょと思って作りました」と述懐した。

制作に関しては、吉崎監督が企画書用に書いた絵の出来に、井関氏から「原画かいてくれればいいのに!」というツッコミも。今回『ME!ME!ME!』にかかった原画枚数は約3,000枚で、これは普通のTVアニメ1本分の枚数に匹敵するという。ひたすら動いているアニメーションを作りたいという思いから、コマ数が膨れ上がってしまったらしい。

本作の音楽を担当したTeddyLoid氏は、クラブ・ミュージックをベースに、Jポップやゲーム、劇伴など幅広い活動で知られる音楽プロデューサー・作曲家で、ガイナックス制作の『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』や、カゲロウプロジェクトによる『メカクシティアクターズ』などを手がけ、今年9月に自身のオリジナルアルバムをメジャーリリースしたばかり。「人間という生物の表と裏がこんなにも表現されたアニメはないなと思いました」と、本作に対する感想の述べたTeddyLoid氏は、「今はLINEやSNSでコミュニケーションを取りながら作れるので、絵やデザインの進捗を見ながらインスピレーションを得て作れます」と想像力が逆に増して作りやすかったと語り、「一緒のスタジオでセッションしている感じ」と制作過程を振り返った。

アニメ特撮研究家の氷川竜介氏が注目ポイントを紹介する「氷川の二度見」のコーナーでは、"ツブシとノバシ"をテーマについて講釈。キャラクターを柔らかく動かすときの作法として物体をつぶしたり伸ばしたりする表現があり、今回は特に「"お尻の振り方"に注目してほしい」と力説。また、"日本乳揺らしの歴史"として「1983年に開催された日本SF大会で公開された『DAICON FILM』制作の映像が"胸を揺らしたアニメ"第一号だった」という豆知識も披露した。

また、11月28日には第四弾作品『Carnage』が「日本アニメ(ーター)見本市」の公式サイトで公開。監督・キャラクターデザインを務めた本間晃氏、脚本の田中隼人氏、そして星野純一氏をゲストに招き、『Carnage』の上映や作品に込めた思いなどを解説する特別番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第四回が、動画サービ ス「ニコニコ生放送」にて12月1日22:00から生中継される。

■「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第四回概要
放送日時:12月1日22:00~23:00(予定)
出演者:本間晃氏、田中隼人氏、星野純一氏、氷川竜介氏(アニメ特撮研究家)、山田幸美氏(MC)
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「日本アニメ(ーター)見本市」は、『新世紀ヱヴァンゲリオン』などで知られる庵野秀明監督が代表を務めるアニメ製作会社・スタジオカラーとニコニコ動画を運営するドワンゴが共同で行う短編映像シリーズ企画。若い才能に"挑戦の場"を提供するべく立案されたもので、さまざまなアニメーターたちが決められた予算と時間の中でオムニバスアニメーション作品を自由に創作し、毎週金曜日に1話ずつ公開していく。作品は公式サイトおよび公式スマートフォンアプリにて無料で視聴できる。