説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 6のオートフォーカスはなぜ速い?」という質問に答えます。
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iPhone 6/iPhone 6 Plusのカメラ機能は、前モデルのiPhone 5sと比べて画素数は変わらないものの、カメラ機能全体としては進化しています。確かに画素数は写真の質感を決める大切な要素ですが、スマートフォン内蔵のカメラとしては「ピンぼけ」を解消するほうが重要ともいえます。画素数を増やしたとしても、それに見合う性能のレンズを搭載できるかという問題もあるため、ピンぼけを減らす「オートフォーカスの改良」を優先したAppleの判断は、ひとつの考え方といえるでしょう。
iPhone 6に搭載された新しいiSightカメラには、「Focus Pixels」というセンサーが搭載されています。詳細は明らかにされていませんが、この技術はミラーレス一眼など高級機で採用事例が多い「像面位相差検出オートフォーカス」に近い特性を持ち、すばやい合焦を特徴としています。
これまで多くのコンパクトデジタルカメラやスマートフォン内蔵のカメラには、細かくレンズを動かしもっとも画像の明暗差がはっきりしているところを合焦点とする「コントラスト検出オートフォーカス」が採用されてきましたが、高速化は困難でした。しかし像面位相差検出オートフォーカスでは、イメージセンサー表面に位相差検出用のセンサーを散りばめ、両センサーの差を参考に被写体までの距離を測定することで、少ないレンズの動きで合焦させることが可能になるのです。
Focus Pixelsが像面位相差検出オートフォーカスと技術的に同一かどうかは不明ですが、画像情報が増しオートフォーカスがスピードアップしたことはAppleも強調しているところです。もっとも、Appleにとってはピンぼけの少ない鮮明な写真を撮影できる機構を採用したかっただけのことで、どの技術を採用するかは意味のないことなのかもしれません。