日立製作所はこのほど、アジア地域で業務を展開する子会社の日立アジアを通じ、シンガポール・セントーサ島のモノレール「セントーサエクスプレス」用の都市交通向け無線信号システム(CBTC)と車両2両(1編成)を受注した。受注額は約3,000万シンガポールドル(約27億円)。

「セントーサエクスプレス」の車両。新たに納入するのもこれと同じ車両の予定

日立が納入するCBTCは、モノレールや近郊列車、地下鉄をはじめとする都市交通向けの信号システム。列車の位置情報と制御情報を無線で伝達するため、地上の列車検知設備が不要で、ケーブルなどの沿線設備やメンテナンスにかかるコストを削減できる特徴を持つ。

また、列車の位置情報をリアルタイムに把握することで、安全上必要な列車同士の間隔を保てるため、高密度な運行が可能となり、結果として輸送力も向上。全自動運転化も可能になるという。すでに2009年、中国に納入しており、昨年はベトナムからも発注を受けた。

新たに納入する「セントーサエクスプレス」用の車両は、スピーディーなアクセスをイメージさせる流線型。「世界中から集まる多くのゲストを乗せてリゾート施設へアクセスするにふさわしいデザイン」(日立製作所)をめざしたといい、外観は編成ごとに異なる明るい色彩になるという。

2007年1月に開業した「セントーサエクスプレス」は、島内を訪れる観光客の増加で輸送力の増強が急務となっていたため、日立の提案するCBTCによる高密度運行が採用されることに。日立は、「セントーサエクスプレス」開業時にモノレール車両12両(6編成)、信号システム、運行システムなどの主要設備とシステムを納入しており、開業以来の安定運行の実績が評価された。