お笑いコンビ・松本ハウスのハウス加賀谷が20日、NHK大阪放送局で行われた主演ドラマ『悪夢』(12月5日放送 NHK Eテレ 21:00~)のPR会見に出席した。
同ドラマは、Eテレで放送中の障害者のための情報バラエティー『バリバラ』(毎週金曜 21:00~)が障害者週間(12月3日~9日)に合わせて制作。幻覚のため、どこにも雇ってもらえず葛藤する統合失調症の主人公が、障害のある人が集まるラウンジ「悪夢」を訪れたことをきっかけに、自分の障害を受容していく姿をコメディータッチで描く。この主人公を自らも12歳のときに統合失調症を発症し、入退院を繰り返してきた経歴を持つ加賀谷が演じるほか、ラウンジの女主人役に義足のアーティスト・片山真理、主人公の友人となるバーテンダー役にダウン症のタレント・あべけん太、ラウンジの客としてさまざまな障害のある一般の人々が出演。また、俳優としても活躍するお笑いタレントのカンニング竹山、加賀谷の相方・松本キックらも脇を固め、主人公の心の変化を笑いを散りばめながら綴っていく。
「名優、ハウス加賀谷です!」とあいさつして笑わせた加賀谷は、この作品がドラマ初主演。「昔、時代劇で『バ~カ』としか言わないバカなお侍さん役をやりましたが、それはエキストラみたいな感じだったのでカウントされないですよね…(笑)」と本格的なドラマ出演も初めてであることを明かしたが、主人公の苦悩を表現する重要なシーンでは、「どうやろうかと本当に悩んで、がんばって演じました」と熱演を見せていることをアピール。共演者についても「障害を持っているからというのではなく、ありのままで演じていらっしゃって、とても気持ちのいい現場でした」と語り、「ドラマ撮影は、経験としてすごく楽しかったです。これまでお笑いで勉強したことが少しは役に立ったのかなという気がします」と充実感あふれる笑顔を見せた。
加賀谷は人気絶頂だった1999年、統合失調症が悪化し、活動を休止。それから10年間の闘病を経て、芸能界に復帰してから5年が経つ。復帰当初は「昔のようにできないと悩んで、『たいしておもしろくもないのに笑ってる』と誰かが言っているように思ったりとか。妄想がひどくなってしまった時期もありました」というが、「そこは開き直って、僕はカミングアウトしているわけだし、みんなが誤って捉えている場面もあるわけだから、それはそれでいいや! ってそのままゴロッと横になっちゃったりとか(笑)」と、ドラマの劇中では主人公につきまとう全身白づくめの集団"シロイヒト"として表現されている「精神的な圧迫」を払拭してきたという。
復帰後、講演会などを行う中で抱いた「障害を持つ人に普段触れていない方は『障害者』という一括りにしたイメージを持ってしまうところがあると思う。それが少しでも柔らかくなればと」という思いを、ドラマにぶつけたという加賀谷。今後、俳優としても活動する意欲は? との質問が飛ぶと、「なんでも来いですね。間口は広く。相方の松本キックはもうちょっとお芝居できるんで、ぜひバーターでお願いします(笑)」と長年の相棒もちゃっかりPRし、笑いを誘っていた。
なお、『バリバラ』でもドラマの特集をオンエア。11月28日は撮影の模様を追ったメイキングを、12月12日はドラマのテーマをさらに深く掘り下げるトークを放送する。