FreeBSD - The Power To Serve |
11月1日・2日、米国のシリコンバレーで*BSD関連の会議「Meet BSD California 2014」が開催された。インターネット黎明期はエッジサーバとしての需要が高かった*BSDだが、現在ではエッジサーバのみならず高性能アプライアンスからコンシューマデバイスまで、組込み向けのオペレーティングシステムとして採用が進んでいる。
最近、最も多くの台数が出荷されたのはPlayStation 4だろう。PlayStation 4はFreeBSDベースのオペレーティングシステムを採用した。また、広く利用されている製品での採用例としては、MacのユーザランドにFreeBSDが使われていることも知られている。
この手の話はニュースで取り上げられるなど、表に出てくることは少ない。どの会社のどのデバイスがどのオペレーティングシステムを使っているかについては、ほんの一握りのエンジニアしか知らないことが多い。実際に顔を合わせて話をした時、「あぁ、あなたの会社のプロダクトもそのオペレーティングシステムを使っているのか」といったことが明らかになったりする。
しかし、技術というものは伝播し、改良され、改良されたものらが混じり合うことで発展する。エンジニアは各自が抱えている情報から新たな価値を生み出すため、交流し、議論し、実践し、日々自らの技術を発展させている。
*BSD系のエンジニアは世界で定期的に開催されている国際会議を通じてお互いの情報交換を図っている。代表的なところでは東京で開催されているAsiaBSDCon、カナダのBSDCan、ケンブリッジのBSDCam、欧州のEuroBSDConがあり、数年前からは米国でMeet BSDが開催されている。
Meet BSDは新しいカンファレンスだが、シリコンバレー(サンノゼ)での開催とあって有名企業からの参加者が多い。10年前ならMicrosoftやFacebookの関係者が話をすることは考えられなかったのだが、現在では当たり前の光景だ。
今年のMeet BSDは11月1日・2日に開催され、筆者も参加してきた。以下、筆者が面白いと感じたトピックを紹介しよう。
人脈、ライセンス、技術、経営 - PlayStation 4での採用の理由は?
Meet BSD California 2014では、Sony Computer Entertainment AmericaのAlex Rosenberg氏がPlayStation 4について講演を行った。今回、筆者がMeet BSDに参加したのはこの話が聞きたかったこともある。どのような経緯で、PlayStation 4に採用する技術やソフトウェアを決定したのかを聞きたかったからだ。
技術的な詳細は省くが、*BSDがPlayStation 4のオペレーティングシステムに決定したのは次のような理由によるという。
- 同氏が個人的に*BSDのエンジニアと付き合いがあった
- BSDライセンスがプロダクトに採用しやすかった
- 経営層とこのプロダクトを採用することで合意がとれた
- 活用できる技術が採用されていた(GEOM、LLVMなど)
プロダクトに採用する技術を決定する際は人脈も重要だ。問題や課題が発生した場合、その技術に詳しい人物に相談できるかどうかは、プロダクト開発の進捗にも影響する。適切な人脈があれば、開発者のアサインも容易になり開発も滞りなく進む。ライセンスや実装技術以外の要因も加味されていたことは興味深いポイントだった。