最近トレンドのアクションカメラの中でも圧倒的なシェアを誇る「GoPro」。その人気商品向けにこのほど専用の高音質ステレオマイク「iGoMic」が登場した。同製品は、測定用の小型マイクを開発しているMicW社製のもの。GoProカメラのためにデザインされた“X-Y方式”のステレオマイク・カプセルで構成されており、プロ仕様のサウンドを録音できる。GoPro以外にも、デジタル一眼カメラなどと3.5mmステレオ入力端子経由で接続することが可能だ(30cm長のケーブルが付属)。そんな新製品を普段テレビCMや映画制作に携わっている現役の映像クリエイター松田義正さんに実際に体験してもらった。

高音質ステレオマイク「iGoMic」

まず、実際に松田さんが制作した、本製品を使用して撮影した場合と使用していない場合の2パターンの聴き比べの動画を披露。「明らかに(音の取れ方が)違いますよね。このマイクで拾った音声は周辺の環境音より際立って聞こえます。よりクリアに音声を拾うという印象ですね」と語る。GoProの内蔵マイクだと周囲の音も平坦に拾ってしまうので、雑音の多い場所やシーンでは、カメラの前の人物が話している音声がかき消されてしまいがち。しかし、マイクによってそれが解消できるとのことだ。

最近ではアクションカメラを使った実況動画がYouTubeなどで盛んに投稿されるが、松田さんはプロの目から次のようにアドバイスをする。

「映像の世界では、実は絵が4割で、6割が音と言われるくらい音が重要なんです。完成度の高い映像作品を目指すには素人の方であってももっと音に注目してみてください。音がよくなると完成した映像のクオリティは一段と上がります」

アクションカメラ「GoPro」に高音質ステレオマイク「iGoMic」をつけた場合(左)とつけなかった場合で音の取れ方はどう違うのか

また、音声にこだわった収録をすることにより、その後の映像の使い方もぐんと広がるそうだ。周りの音と撮りたい音とにしっかりとした音量の差が生まれるため、映像編集時に音声のボリュームを調整することで、このマイクで拾った音声であれば周辺の音よりも際立たせることが可能になる。内蔵マイクで拾った音の場合は、周辺の音と撮りたい音にあまり音量の差がないため、音声を調整しづらく、周辺の音を小さくしようとすると全体的に音が聞こえにくくなってしまうという。

そして、実際の使用に最適なシーンとしては“旅行ビデオ”を挙げる。「まずはGoPro専用のマイクということで相性は抜群。アクションカメラなのでやはり装着のしやすさと、装着した際にカメラの機能を損ねないこと、機動力が大事です。電池が不要な点も重要。ウェアラブルなデバイスである以上、できるだけ身軽でなければなりません。旅行を収めた映像でありがちなのは、撮影者の声を大きく拾ってしまうことがありますが、このマイクを使えばそうした失敗も避けられます。場面を説明するナレーションをしながら撮影するような記録映像でこのマイクを使うと、はっきりとその差が出ると思います」とコメントする。

室内と野外のふたつのシチュエーションで検証

ただし、注意したいのは風の音。本製品のキットには風切り音を軽減するウインドスクリーンも付属するが、強風時にはそれを装着しても風の音をやはり拾ってしまうとのことだ。松田さんによると、「プロの現場で使うようなもっと大型のウインドスクリーンを使えば軽減できると思いますが、それではアクションカメラというGoPro本来の機動性を損ねてしまいます。風の影響はプロの機材でも難儀する問題ですので、こればかりは避けようがありません」との説明だ。

一方で、松田さんが意外に高く評価するのはステレオ入力端子経由でGoPro以外の機材でも使用できる点。「一眼カメラにもつけられるというのはお得感がありますね。最近は撮影現場でカメラマンがデジイチ1台で静止画も動画も撮影するパターンが増えてきているのですが、ビデオメーカーではない製品だと、音声がどうしても弱点ですが、このマイクが汎用的に使えるというのはありがたいです」と話す。

プロの目から見ても、ワンランク上の動画を目指すには、お得度も高くお墨付きの製品のようである。


松田義正(映像プロデューサー/ディレクター)
1981年5月20日生まれ。物心ついた時から映画好きで、小学生の頃に『将来は映画の道へ進む!』と決意。20代前半でB級ホラー映画を1本監督したのち、ジャンルを広げ、ディレクターとして様々な映像制作に関わる。現在は某映像制作会社のプロデューサー/ディレクターとして、CMなどの企業プロモーション映像からエンタメ系の映像まで、日々映像制作漬けの人生を送っている。