BCNは11日、全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」に基づくデジタル家電の市場動向を発表した。2014年4月の消費税増税後、8月には回復の兆しが見えたが、9月・10月と2カ月連続で足踏みが続く状態となっている。
BCNは、国内デジタル製品の総合的な販売実績を示す「BCN指数」と呼ばれる数値を提供している。これはBCNが家電量販店などのPOSデータを商品カテゴリごとに集計する「BCNランキング」をもとに、平均販売単価と販売金額の前年同月比をまとめた数値だ。
「BCN指数とドル円相場、日経平均」を重ねたグラフ。BCN指数は、2014年4月の消費税増税以降、8月に回復の兆しが見えるも、9月と10月には再び落ち込んでしまった |
「主要デジタル家電カテゴリーの販売金額前年比と平均単価」。液晶テレビは増税の反動で落ち込んだ4月以来、初のマイナスを記録(5~8月はプラス) |
2014年4月の増税で半年ぶりにマイナスに落ち込んだBCN指数は、8月に98.8まで回復したものの、9月と10月の2カ月連続で93.2を記録。この数値は増税後最低の水準となる。BCNでは、9月・10月にBCN指数が落ち込んだ原因を円安による物価高と推測。特に9月以降、食料品を中心に価格の上昇が目立つため、4月の増税とあわせて消費マインドを冷やす結果になったのではないか、としている。
製品カテゴリ別に見ると、液晶テレビ、レコーダー、ノートパソコンの販売金額は前年を下回った。液晶テレビは5月以降連続で前年超えをしていたものの、10月は97.9%とわずかながら前年には満たない数値に。レコーダーは89.8%、ノートパソコンは75.1%と、前年を大きく下回る結果になった。一方で、iPadなど新製品が登場したタブレットは、146.6%と大増幅を記録。デジタルカメラは107.3%と、増税後初めて販売金額が前年を上回ったが、大きく伸びたわけではない。BCNは、迫力ある伸びを示しているカテゴリーは見当たらない、としている。
2014年10月31日に日本銀行が発表した追加金融緩和の影響で、さらなる円安の進行と株高が期待されるが、これ以上の円安で単に株価を上昇させるだけでは、デジタル家電市場に大きなプラスはない。BCNは調査結果を踏まえたうえで、ウェアラブルデバイスやモノのインターネット(IoT)などの新たな市場で成功が求められる、と結んだ。