NECは、人間の目では判別が困難な、製品ごとの紋様(物体指紋)をスマートフォンやタブレット端末のカメラで認識し、製品の個体を瞬時・高精度に識別する「物体指紋認証技術」を開発した。製品の真贋判定や流通トレーサビリティへの適用が期待されている。

「物体指紋認証技術」イメージ

「物体指紋認証技術」は、工業製品・部品の表面に自然発生する微細な物体指紋を読み取り、個体識別する技術。物体指紋を読み取るには、スマートフォンやタブレット端末のカメラ部分に専用アタッチメントを装着し製品を撮影する。これにより、製品の製造時に自然発生する微細な物体指紋を画像認識し、クラウドを介して事前に登録したデータベースと照合される。

同技術が適用されれば、識別用タグの取り付けや特殊加工などを用いずに、低コストかつセキュアに製品の個体識別が可能となる。

適用が期待される用途は、以下の通り。

  • 流通トレーサビリティ
    バッグや財布などの服飾製品の部品の物体指紋を登録・認識し個体を識別。これにより、いつ、誰が、どこで購入したかなど、製品のトレーサビリティが向上し、販売店・製造ルートの特定による製品保証の信頼性向上につながる。

  • 真贋判定
    工業用機械に付与されるエンブレムやロゴマークの物体指紋を登録・認証し個体を識別。これにより、識別用タグやシリアルナンバーがなくても、製品の真贋判定が可能となり、低コストかつ効率的な模造品対策、ブランド保護を実現する。

  • 部品管理・保守作業管理
    ネジやボルトなど、識別用タグやシリアルナンバーを付けることが困難な少部品の物体指紋を登録し認識。これにより、部品管理をIT化し、部品の形状・大きさなどの確認が、部品を取り付けた後でも、外すことなく可能となる。保守・点検作業の効率化や付け間違えによる事故の防止に貢献する。

(記事提供: AndroWire編集部)