財務省は11日、2014年度上半期(4~9月)の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は2兆239億円の黒字となった。黒字は2期ぶり。黒字幅は前年同期と比べて1兆571億円縮小し、上半期としては過去最少となった。

2014年度上半期の経常収支(出典:財務省Webサイト)

「第1次所得収支」が黒字幅を拡大した一方、「貿易・サービス収支」が赤字幅を拡大したことなどから、前年同期比では黒字幅が縮小した。

貿易・サービス収支は6兆2,125億円の赤字で、赤字幅は前年同期比で7,598億円拡大した。

貿易収支は4兆3,974億円の赤字で、赤字幅は前年同期比で6,456億円拡大し、上半期として過去最大に。金属加工機械や自動車を中心に輸出が増加した一方、液化天然ガスや半導体等電子部品を中心とした輸入の増加が上回ったため、赤字幅が拡大した。輸出額は同1兆8,959億円増の36兆1,668億円と3期連続の増加。輸入額は同2兆5,415億円増の40兆5,641億円と9期連続で増加した。

サービス収支は1兆8,152億円の赤字で、赤字幅は前年同期比で1,142億円拡大した。「知的財産権等使用料」の受取が統計を開始した1996年以降で最大の1兆8,388億円となったほか、「旅行収支」の赤字幅が同じく1996年以降で最少となった。一方、「通信・コンピュータ・情報サービス」の支払が増加したため、赤字幅が拡大した。

第1次所得収支は9兆1,487億円の黒字。黒字幅は前年同期比で1,304億円拡大し、半期として過去最大(1985年以降)となった。証券投資に係る配当金の支払増加などにより証券投資収益が減少した一方、直接投資に係る配当金・配分済支店収益等の受取増加などにより直接投資収益が増加したことから、黒字幅が拡大した。

第2次所得収支は9,122億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で4,276億円拡大した。

併せて発表した2014年9月の国際収支状況(速報)によると、経常収支は9,630億円の黒字となった。黒字は3カ月連続で、黒字幅は前年同月に比べて3,683億円拡大した。

貿易・サービス収支は9,228億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で564億円縮小した。赤字は30カ月連続。

貿易収支は7,145億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で10億円拡大した。赤字は15カ月連続。輸出額は同6,732億円増の6兆4,682億円で、19カ月連続の増加。輸入額は同6,742億円増の7兆1,827億円で、4カ月連続で増加した。

サービス収支は2,083億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で574億円縮小した。第1次所得収支は2兆352億円の黒字で、黒字幅は同4,008億円拡大。第2次所得収支は1,494億円の赤字で、赤字幅は同889億円拡大した。