フィギュア・羽生結弦選手は中国杯のフリー直前練習でケガを負った

フィギュアスケートの羽生結弦選手が日本時間11月8日、グランプリ(GP)シリーズの中国杯のフリー直前の公式練習で流血を伴うケガを負った。体調が万全ではない中で強行出場し、2位には入ったが、その出場を巡り、インターネット上でさまざまな意見があがっている。

傷ついた体ながらも、ソチ五輪金メダリストとしての矜持(きょうじ)は見せた。頭に包帯を巻くほどのケガをおして出場したフリー。5回も転倒しながら、今シーズンの新プログラム「オペラ座の怪人」を滑りきり、4分間半を戦いきった。

"悲劇"はフリー直前の6分間の公式練習で起きた。スピードに乗って後ろ向きに滑っていた羽生選手と中国のエン・カン選手が激突。氷上に激しく体を打ちつけ、羽生選手はしばらく立ち上がることができなかった。あごの下は切れ、頭部からは血を流していた。

それでも、治療を終えた羽生選手は出場を選択。冒頭、羽生選手は傷を負った体で果敢に4回転にトライするが、サルコウとトゥーループ共に転倒。後半のジャンプでもミスを重ね、計5度転倒したが、最後まで演じきった。フリーの得点は11人中2位の154・60をマーク。ショートプログラムと合わせたトータル237・55で2位に入った。

ただ、この羽生選手のフリーを巡っては、ファンの間でも意見が割れている。Twitter上では

「最後まで諦めずに頑張ってた」

「羽生選手の演技に鳥肌たちました」

「物凄いまでのアスリート精神でしたね」

と、最後までファンの前で自らのスケートを演じきった羽生選手をほめたたえる声もあった。その一方で

「この判断が正しいとは思えない」

「いやこれスケ連止めるべきでしょう」

と、出場をすべきではなかったという声もあった。中には6人の選手が一斉に行う直前の公式練習を危険視し、「はやくルール整備したほうがいいよ」と改善を促す意見も見られた(すべて原文ママ)。

アスリートの間でも意見が割れていた。羽生選手と親交もあるフィギュア・織田信成さんは、「ただただ、すごい」と、羽生選手のフリーに一定の理解を見せていた。

その一方で、頭部への激しい接触もあるラグビー界において第一線で活躍してきた大八木淳史さんは、明確に「NO」を突きつけている。大八木さんは、羽生選手は血を見たことで逆に闘志が高まったかもしれないが、周囲がそれを制して参加を止めるべきだったとの見解を示している。

予定通りならば、羽生選手は11月28、29日に開催されるGPシリーズのNHK杯に出場することになっている。GPシリーズは2大会の合計ポイントでファイナル(12月12~14日)への出場を争うため、仮に羽生選手が途中棄権していた場合は、ファイナルへの出場が遠のいていたことになる。

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