MMD研究所が2014年10月に実施した「スマートフォンに関するイメージ調査」によれば、消費者の5割が"新製品の発表に驚きを感じなくなった"と回答しているという。回答者の約半数が新製品に驚きを感じなくなったと答えた同調査だが、65%以上が「今後のスマートフォンの進化に期待している」とも回答している。この結果をどう読み取るべきだろうか? 本稿で考察してみたので紹介しよう。
同調査は2014年10月17日~10月19日にかけて、スマートフォンを所有している20歳以上の男女1,251人を対象に実施されたもの。結果としては、スマートフォンの新製品の発表に対して、50.0%の人が「過去に比べると驚きを感じなくなった」と回答。スマートフォンの進化に「期待する」と答えた人は65.6%で、今後のスマートフォンの進化の度合は「見た目より機能だと思う」が46.4%となっている。
市場は驚きのある製品を求めている?
日本国内のスマートフォン人気に火を点けた製品と言えば多くの人が「iPhone」と答えることだろう。タッチディスプレイを採用した外観は、フィーチャーフォンのボタン操作に慣れ親しんだ利用者に強烈なインパクトを与えた。指先でヌルヌルと気持ちよく動くUI、App Storeに豊富に用意されている質の高いアプリ群に人々は魅了された。「そんなことまでできるの」と驚かせてくれる携帯電話、それがiPhoneだった。
薄さ、軽さ、大きさ、ディスプレイの鮮明さなど、この数年で少しずつ進化してきたスマートフォン。その進化の度合いは今、鈍化の傾向にあるとも言われている。現在、「そんなことまでできるの」と驚かしてくれる端末に出会うことは、正直難しいのかも知れない。半数の人が「スマートフォンの新製品に過去ほど驚きを感じない」と答えたのも理解できる。再び、私たちを虜にしてくれるスマートフォンに出会いたい。「今後のスマートフォンの進化に期待している」と答えた65%以上の人たちは、iPhone登場時のような感動を味わいたいのだと推察される。
スマホの未来を感じさせる2014年の端末
2014年に発表されたAndroidスマートフォンの中で"新たな進化の形"を示した製品があるとすれば、それは「AQUOS Crystal」と「GALAXY Note Edge」と筆者は考えている。いずれも、スマートフォンのディスプレイの未来を占う上で重要な意味をもつ端末といえるだろう。
AQUOS Crystalでは、ディスプレイの表示領域を端末の枠ギリギリにまで広げることに成功したモデルだ。シャープでは、これを"フレームレス構造"と名付けている。実機を手にしてみると、まるでスマートフォンからディスプレイだけを取り外して触っているかのような錯覚にとらわれる。今後のディスプレイのあり方を問うデザインだ。
GALAXY Note Edgeはさらに、興味深いデザインを採用している。それは、ディスプレイの端を湾曲させた「エッジスクリーン」だ。スマホに驚きを期待するユーザにとっては、特に興味深い形状といえるだろう。
このエッジスクリーンは、Windows PCのタスクバーのように使うことができる。メイン画面とは独立しており、いつでもお気に入りのアプリが起動できるほか、通知領域としての機能も果たす。
このほか、GALAXY Noteシリーズではおなじみとなった「マルチウィンドウ」機能により、2つ以上のアプリを同時に画面表示可能。このほかスタイラスペンを活用すれば、マウスドラッグのような使い心地でテキストのコピー範囲を指定したり、画像ファイルを一括選択したりできる。
エッジスクリーンによるタスクバー、マルチウィンドウによる複数アプリの同時利用、スタイラスペンを活用したマウスのような使い心地。スマートフォンの進化の行き着く先を「PCとの融合」と定めるなら、GALAXY Note Edgeは限りなくゴールに近づいているといっても過言ではないだろう。もちろん、スマートフォンの使い勝手の良さを保ちながらだ。今後、スマートフォンはどのような形で拡張していくのだろうか。これからの展開にも期待したい。