節税ができて"お取り寄せ"もできちゃう!?

全国から"お取り寄せ"ができて節税もできる、「ふるさと納税」を御存じだろうか? 既に楽しく活用している人もいるようだが、興味があっても何から始めればいいのか……という人も多いのでは? 今回はふるさと納税を賢く利用する方法をふるさと納税最大手専門サイト「ふるさとチョイス」主宰の須永珠代さんに聞いてみた。

ふるさと納税って何?

そもそもふるさと納税とはどういうものなのか。「ふるさと納税とは自治体への寄付のことです。個人が自治体に2,000円を超える寄付を行った時に、住民税の1割程度を上限に、所得税と住民税が安くなります。最近では、寄付の"お礼"としてもらえる地方の特産品が話題となり、ふるさと納税ブームを後押ししています」と須永さんは言う。

"ふるさと"といっても、寄付をするのは生まれ故郷や実家がある市町村でなくても良いし、複数の自治体に寄付をすることもできる。「税金の使い道は寄付する本人が決めることができます。日本で唯一、税金の使い道が指定できる制度なんです」(須永さん)とのこと。

ふるさと納税のステップ

ふるさと納税をする手順は、以下の通りだ。

Step1)寄付する地自体を選ぶ
現在、ふるさと納税を行っている自治体は全国で1,800ほど。故郷に寄附したい場合は迷わないかもしれないが、そうでない場合は寄付の先を探すだけでも一苦労。そんな時には興味のある自治体のホームページをチェックしたり、「ふるさとチョイス」などのポータルサイトで目星をつけてみるといいだろう。

Step2)寄付の申し込みをする
たいていの自治体ではホームページに申込書がある。申込書をダウンロードして郵送したり、申し込みフォームで必要事項を入力したりして寄付の申し込みを行う。

Step3)寄付をする
いよいよ「寄付」をする。銀行払いやクレジットカード払いや現金書留などのほか、直接持参するなどお金を寄付する方法はいろいろ。自治体の指定する支払い方法のうち、自分が寄付しやすい方法を選ぼう。「ふるさとチョイス」から直接申し込みからクレジット決済まで、すべてインターネットで完結できる自治体も多数ある。

Step4)証明書を保管する
寄付をすると、寄付をしたことを証明する「証明書」が送られてくる。これはStep5で確定申告をする時の必要書類となるので、大切に保管しよう。お礼の品とは別で送られることがあり、送付までに1カ月以上かかる場合もある。

Step5)確定申告をする
ふるさと納税(寄付)をした後に確定申告をすると、「所得税の還付」と「住民税の控除」が受けられ、寄付は実質2,000円の負担だけで済む。 

なぜ実質負担2,000円なの?

「どうして、実質2,000円の負担で済むの?」と疑問に思う人も多いだろう。ここが、ふるさと納税の一番難しいところでもある。その仕組みを一度整理してみよう。

ポイント1)「所得税の還付」と「住民税の控除」が受けられる
例えば、年収500万円の独身の人が3万円の寄付をした場合、確定申告をすると2万8,000円分は所得税の還付と住民税の控除が行われて、自己負担額は2,000円となる。

ポイント2)控除メリットには上限枠がある
控除メリットを最大限受けるためには、年収によって寄付をする上限額が決まってくる。細かく言えば、この上限額は年収だけでなく、家族構成やその他の控除額(生命保険料控除や住宅ローン控除、医療費控除など)も関わるので、一概にいくらとは言えない。ただ、ざっくりとした目安を試算してもらったのが以下の表である。

寄付金控除のメリットを最大限受けるための寄付金の目安(試算: ウーマン・タックス)

ポイント3)2月に確定申告をすると所得税は3~4月頃戻ってくる
「所得税の還付」は上記の例の場合、2万8,000円の約1割、およそ2,800円部分が銀行振り込みなどの形で実際にお金として戻ってくる。

ポイント4)2月確定申告をすると住民税は控除される
「住民税の控除」は上記の例の場合、2万8,000円から2,800円を引いた約2万5,000円となる。この「住民税の控除」は、お金が戻ってくるわけではないことに注意していただきたい。確定申告した場合、寄付した翌年度の住民税が2万5,000円ほど安くなる。

「住民税の還付については、現金が手元に戻ってくるわけではないので『な~んだ、お金は戻ってこないのか』と思うかもしれませんが、必ず支払わなければならない住民税が安くなるのですから、還付も控除も実質的には同じことなんですよ」(須永さん)。

いずれにせよ、ふるさと納税は「寄付をしたらそれで終わり」ではなく、必ず確定申告をすることで、税金の節約になる制度であるということを覚えておこう。

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール :須永 珠代(すなが たまよ)

ふるさと納税専門サイト「ふるさとチョイス」を主宰。トラストバンク代表取締役社長。2000年から一貫してWeb業界に携わり、小規模なサイトから大規模なサイトまで計100以上のサイト立ち上げの経験者。2012年より現職。起業後は、ふるさと納税ポータルサイトのメディアを立ち上げる。ふるさと納税を通じた地域支援を行うため、全国の自治体を訪問しコンサルを行っている。日本初となるふるさと納税全国セミナーを実施。

筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。