マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社はこのほど、マクラーレン東京にて「P1 GTR」のプレスセッションを開催した。今年8月にアメリカで発表された「P1 GTR デザイン・コンセプト」が展示され、アジア太平洋エリアでの初披露となった。
公道での法規に縛られず、サーキットでのパフォーマンスを追求
「P1 GTR デザイン・コンセプト」は、世界375台限定のスーパーカー「P1」から派生したサーキット専用モデル。車検対応のロードカーである「P1」と異なり、公道では認められていないスリックタイヤの採用や低いライドハイト(最低地上高)などを実現し、サーキットで最高のパフォーマンスを発揮するよう最適化されている。
フロントのトレッドは、「P1」より80mmワイドになり、大きなフロント・スプリッターも装着され、GTレーシングカーを思わせるアグレッシブなルックスに。フロントタイヤ後方の特徴的な「シュリンクラップ」のボディデザインやエアロダイナミクス・ブレードは、エアを循環させたり、整流させたりする役割を担い、空力の効率性を高めているという。ちなみに、「シュリンクラップ」とは、「可能な限り最小のサイズで機能を包み込む」という意味の、ボディデザイン上の思想とのことだ。
リヤにそびえる大型ウイングは、F1でおなじみのDRSを搭載。「P1」のリヤウイングは公道の法規上、ボディに格納されるシステムとなっていたが、サーキット専用設計ということで固定式に変更された。その下にレイアウトされているのは、インコネルとチタンの合金によるエグゾーストだ。さらにその下のボディ下面は、カーボンファイバー製の大型ディフューザーで覆われていた。
この迫力あるリヤスタイルを目の前にして、大きなウイングとディフューザーとの組み合わせに、強力なダウンフォースが発生することだろうと想像した。
今回披露されたモデルは、今年8月にアメリカで発表されたものと同一。エンジンや内装まわりの公開はなく、見学できなかったが、搭載されるパワーユニットは3.8リッターのツインターボV8エンジンとモーターとの組み合わせで、最高出力1000psを発揮するという。インテリアにはF1のMP4-23と同型のステアリングを装備するそうだ。
F1ドライバー育成のために開発されたトレーニングを体験
プレスセッションでは、英国マクラーレン・オートモーティブのポール・マッケンジー氏によるプレゼンテーションが行われた。アンベールに続き、「P1 GTR」についてひと通り説明した後、「じつはクルマ本体は、全体のパッケージの一部に過ぎない。『P1 GTR』のオーナーは、マクラーレンやそのテクノロジーに、かつてない形で触れることができる」とマッケンジー氏。「P1 GTR」の販売価格にはクルマ本体だけでなく、マクラーレンが用意する「P1 GTR ドライバー・プログラム」も含まれているというのだ。
「P1 GTR ドライバー・プログラム」とは、オーナーが「P1 GTR」のポテンシャルを最大限に発揮できるようになることを目的に、個別にカスタマイズされるトレーニングプログラムの呼称。マクラーレンのF1ドライバー向けに特化して開発された「ヒューマンパフォーマンスプログラム」で肉体面と精神面の訓練を受け、最先端の「レーシング・シミュレーター」を利用してサーキットでのドライビングに備えることができるという。
トレーニングの先には、F1レースが行われる国際格式のサーキットでのイベントも用意。オーナーひとりひとりに専用のガレージが与えられ、マクラーレンで活躍するエンジニアやドライビングコーチが付くそうだ。イベントで使用するタイヤなどの消耗品やメンテナンス費用なども、すべて車両販売価格に含まれているとのこと。「P1 GTR」は「P1」オーナー向けに限定販売され、販売台数は30~35台を予定している。