スバルのフラッグシップモデルとなる新型「レガシィ アウトバック」「レガシィ B4」が発売された。これに先立ち、9月末から10月にかけて同車の事前撮影会も行われた。

「レガシィ アウトバック Limited」

「レガシィ B4 Limited」

新型レガシィの第一印象はとにかく「デカい!」。かつて5ナンバーサイズだった「レガシィ」も代を追うごとにボディサイズが拡大し、新型「アウトバック」の全長は4,815mm、新型「B4」も全長4,795mmという、堂々たる体躯となった。

レガシィの主要市場は北米へ - 高級志向とは一線を画すクルマに

衝撃的といえるのが、1,840mmという全幅のサイズだ。とくにセダンの「B4」が1,800mmを超えてしまったということにインパクトがある。なにら現行型のトヨタ「クラウン ロイヤルサルーン」「クラウン アスリート」よりも幅が広いのだ。日産「フーガ」と比べても、わずか4mmしか差がない。

もちろん、このボディサイズ拡大志向には、現在のレガシィの主要市場である北米からの要望が大いに影響していることは想像に難くない。だが日本の道路環境では、このサイズは持て余してしまいそうにさえ思える。「アウトバック」ならキャンプやサーフィンなどのアウトドア、「B4」ならゴルフというように、高速道路での移動が主体となる用途の決まったユーザーに最も適したクルマといえるかもしれない。

ただし、ボディサイズが「クラウン」「フーガ」に近いとはいっても、そうした高級志向のモデルとは明らかに毛色が違う。エクステリアデザインは風格や迫力よりも、精悍さやシャープさを強調した顔立ちだ。室内はレザーシートを採用し、各部への加飾も見られるものの、高級感を演出するという方向には向かっていない。メーターパネルのイルミネーションやスポーツペダルなど、むしろ若さを演出する傾向が見られる。

機能面では、その傾向がより顕著だ。カーナビはスマートフォン感覚で操作できるのがウリで、おそらく今後、スバルのモデルに続々と搭載されていくだろうと予感させる操作性の高さとなった。もっと若い年代をターゲットとしたベーシックカーに初採用されても良さそうなところだが、先進性の高い機能をいち早く取り入れるのが、フラッグシップたるレガシィの役目ということなのだろう。

「レガシィ アウトバック Limited」車内。「herman / kardon サウンドシステム」はスバル国内初採用だという

新たに採用された「herman / kardon サウンドシステム」は、全音域を比較的クリアに聴かせる印象だ。レガシィのプレミアムオーディオといえば、長らく「McIntosh」ブランドが採用されていたが、再生する曲のジャンルによって大幅に聴き応えが変わる印象だった。新型レガシィでは幅広いジャンルを高いレベルで楽しめるほか、MP3などの圧縮音源もリカバーするチューニングが施され、スマートフォンからの再生でも音楽を十分に楽しめる。

走行性能は本格的に走ってみないとなんともわからないが、事前撮影会にてごく近距離の移動と車庫入れなどを繰り返した感想としては、基本的な部分をじつに真面目に作っているという印象だった。ただ、いうまでもなく取回しは良いといえない。大きすぎるボディサイズと長すぎるホイールベースが影響していることは明らかで、こればかりは致し方のないところだろう。その分、直進安定性は非常に高そうだ。

室内空間は非常にゆったりしていて、大柄な男性でも窮屈な思いをすることなく過ごせるだろう。ラゲッジスペースは特段に広いというイメージは抱かなかったが、新型「レガシィ アウトバック」に関しては、ステーションワゴンが絶滅危惧状態に陥っている昨今において、希少な「荷物車」として重宝されるかもしれないと感じた。