LGエレクトロニクス・ジャパンは30日、国内初となる34インチの曲面型ウルトラワイド液晶ディスプレイ「34UC97-S」(アスペクト比21:9)と、デジタルシネマ4Kに対応した31インチ液晶ディスプレイ「31MU97-B」を発表した。価格やスペックなどついては、以下の既報を参照してほしい。「LG、曲面ディスプレイを採用する21:9の34型ワイド液晶ディスプレイ」「LG、多彩な色域をカバーするデジタルシネマ向け31型4K液晶ディスプレイ」。

カープを描くディスプレイ面が特徴的なウルトラワイドモニター「34UC97-S」

デジタルシネマ4Kに対応した高精細モニター「31MU97-B」

発表会の冒頭で登壇したLGエレクトロニクス・ジャパン マーケティング統括 常務の李起旭(リ・キウク)氏は「日本市場は規模や消費者の高いニーズなど、求められる技術水準が高く、重要なマーケットと位置付けている」と語る。

また、「日本市場に対しては、2012年にアスペクト比が21:9のウルトラワイドモニターを投入している。用途、ニーズが多様化するなか、それに寄り添うカタチで進化させた」と述べ、「34UC97-S」や「31MU97-B」が、ユーザーの暮らし、仕事、趣味、学習をより良いものへと変える一助になると自信を見せた。

LGエレクトロニクス・ジャパンの李起旭(リ・キウク)氏

LGエレクトロニクス・ジャパン プロダクトマーケティングチームの森氏

映像クオリティに加え、ラウンドしたディスプレイ面が特徴的な「34UC97-S」

続いて登壇したLGエレクトロニクス・ジャパン プロダクトマーケティングチームの森氏は、各製品について詳しい説明。

「34UC97-S」の最大の特徴は、緩やかにカーブを描く曲面型のディスプレイだと森氏。「実際にその場にいるかのような臨場感や没入感を演出」しているとのことだが、発表会の展示で実機を見た限り、その精緻な映像クオリティと包み込むように視界に広がる画面の迫力は確かなものだった。加えて、薄型のベゼルやシャープな印象を醸し出す細身のスタンドなどのデザイン性、高精細な映像には高音質ということでWaves Audio社「MaxxAudio」の採用といったこだわりも。

インテリアにもマッチするデザイン性に加え、Waves Audio社「MaxxAudio」搭載の迫力あるサウンド

液晶パネルはIPS方式なので、どの角度から見ても色合いの変化が少なく、自然で鮮やかな発色だ。ディスプレイ面が緩やかに弧を描いているおかげで、作業を行う際に眼のピント調整の負荷も軽減するという。

また、シネスコサイズの映像を全画面で表示した際に、画面全体に表示されるため(上下の黒帯がない)、一層の没入感を演出してくれる。映像ソースがビスタサイズ(16:9)の場合には、空いたスペースにコンテンツ情報やWebサイトを表示し、「映像+α」の楽しみ方が可能とのことだ。

映像を心から楽しむうえで、時折その存在が気になる上下の黒帯「レターボックス」。それを表示することなく全画面で映像を楽しめるのもポイント

「Screen Split」を用いることで、最大4分割へと瞬時に表示を切り替える

一方、オフィスワークにおいても、「34UC97-S」の3,440×1,440ドットという高解像度は有効と、LGエレクトロニクス・ジャパンの森氏。

付属ソフト「Screen Split」を用いて最大4分割までウィンドウを自動分割表示でき、目的のウィンドウを探すといったちょっとした作業ギャップを低減し、作業効率の向上に寄与する。

また、DTPや映像編集といったクリエイティブ作業でも、高解像度がもたらしてくれる利便性の恩恵は大きい。「34UC97-S」は、Thunderbolt 2インタフェースによってMacとの接続もアピールしている。

クリエイティブな作業を行っていると「広大な表示スペースがあれば!」と思うこともしばしば。「34UC97-S」の3,440×1,440ドットという広い表示領域がものをいう

Thunderbolt 2によって、Macとの親和性が高まったのはうれしいところ。また、美しいIPSパネル採用、ブルーライトの低減や作業の効率化をサポートする機能は、一般のオフィスワーカーにとっても利便性が高いだろう

「34UC97-S」スペック概要

「34UC97-S」×3台のマルチディスプレイ。特徴的な「カーブ画面」を感覚的にとらえやすいと思う

背面の端子類を覆うカバーによって、スマートな外観をキープ

カバーを外すとこんな感じ。上方に端子を差し込む

ちょっと見にくいかもしれないが、ディスプレイ中央下部に設置された「OSD Joystick」

「OSD Joystick」をプッシュするとOSDメニューを表示

画面右のOSDメニューはジョイスティックで操作

DCI(Digital Cinema Initiatives)規格準拠の31インチ4K「31MU97-B」

「34UC97-S」同様、MaxxAudioによる高品質なサウンドを実現しつつ、デジタルシネマ4Kに対応したモデルが「31MU97-B」だ。通常の4K(3,840×2,160ドット)よりさらに高解像度となるDCI規格に準拠した4,096×2,160ドット解像度に対応しているのが特徴だ。多彩な色域もカバーしており、AdobeRGBは99.5%以上、DCI規格のDCI-P3は97%を達成するほか、医療向けの「DCM(DICOM)」のカラーガンマ値にも対応している。

PC業界で主流の4K(3,840×2,160ドット)以上のDCI規格に準拠したデジタルシネマ4K(4,096×2,160ドット)。多彩な色域をカバーする基本性能の高さが魅力的

ユニークな機能は、印刷でよく用いられるAdobeRGBと、Webコンテンツで用いられるsRGBという異なる2つの色域を、同時に描画する「Dual Color Space」機能だ。紙媒体とWeb媒体、双方のクリエイティブを行うユーザーにとってありがたい機能ではないだろうか。また、ハードウェアキャリブレーションに対応しており(キャリブレーターは別売)、常に最適な色調にメンテナンスできるほか、作業効率向上に寄与する「Screen Split」も搭載されている。

左右にAdobeRGB、sRGBの異なる色域を表示できる「Dual Color Space」機能

ハードウェアキャリブレーションやSUPER+Resolution超解像技術を搭載するほか、「34UC97-S」と同様の「Screen Split」や「MaxxAudio」を搭載

「31MU97-B」スペック概要

「31MU97-B」はピボット表示にも対応