日本銀行は、30~31日に開催した金融政策決定会合において、資金供給量(マネタリーベース)の増額目標を、従来の年間60~70兆円規模から年間約80兆円に増やす追加緩和策を決定した。

長期国債については、買い入れペースを現在の年間約50兆円から約30兆円増やし、年間約80兆円に拡大する。併せて、買入れの平均残存期間を7年~10年程度に延長する(最大3年程度の延長)。

ETFおよびJ-REITについては、保有残高をそれぞれ従来の3倍に増やし、各年間約3兆円、約900億円に相当するペースで増加するよう買い入れを実施する。また、JPX日経400に連動するETFを買い入れ対象に追加する。

なお、マネタリーベース増加額の拡大と、資産買入れ額の拡大および長期国債買い入れの平均残存年限の長期化については、政策委員9人のうち、5人が賛成、4人が反対した。

景気の基調判断については、「緩やかな回復を続けている」との判断を14カ月連続で据え置いたものの、物価面では「このところ、消費税率引き上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が、物価の下押し要因として働いている」との見方を示した。

その上で「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」とし、「こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持する」ために追加緩和策は適当と判断したとしている。