身の周りにあふれているドラマやマンガ、小説などが職業選択に影響を与えることはあるのだろうか? 2015年卒業予定のマイナビ会員を対象に実施した「2015年卒 マイナビ大学生のライフスタイル調査」(回答者5,663名)から、理系男子が「就職活動や職業選択をする上で影響を受けた作品」を紹介する。調査期間は2013年12月13日~2014年1月13日。同質問に回答した理系男子245名の結果となる。
■半沢直樹(TBSのTVドラマ、及び池井戸潤『半沢直樹シリーズ』文藝春秋)
・「金融業界に少し興味を持つようになった」
・「銀行員かっこいいと思った」
・「大企業内での個人の動きの不自由さを感じた」
・「金融業の世界を少しだけ知ることができたので、金融業界に興味を持ちました」
■TVドラマ
・「『ダンダリン』(日本テレビ系列)…労働基準監査官という職種がどのようなものかわかり、興味をもった」
・「『CSI:科学捜査班』(CBS)…科学捜査を仕事にすると決めた」
・「『ER 緊急救命室』(NBC)…この作品では薬剤師が手術室に入って医師に薬剤情報を提供するなど、現状の日本とは薬剤師の働く場が大きく違うことに気づき、自身が病院薬剤師として活躍の場を広げようと思うきっかけになりました」
・「『GOOD LUCK!!』(TBS系列)…航空業界に興味を持った」
・「『ブラッディ・マンデイ』(TBS系列)…パソコンを自由自在に扱う姿が格好良いと感じたため」
・「『リーガル・ハイ』(フジテレビ系列)…人との議論する場において、必要だと思われる先読みの力、反対の仕方などを学んだから」
・「『相棒』(テレビ朝日系列)…起きていることの原因やその裏側を考える癖がついた」
■考え方が参考になったマンガ
・「『Dr.スランプ』(鳥山明/集英社)…則巻千兵衛の、道具を自作し、自分や周囲の人間の生活に役立てる姿勢に感動した」
・「『NHKにようこそ!』(原作:滝本竜彦、作画:大岩ケンヂ/角川書店)…自分の書いたESを人に見せるのが怖かったけど上記の漫画を読んだことで自分の視野の狭さに気がつき、積極的に人に関わるようになった」
■職業の参考になったマンガ
・「『銀の匙 Silver Spoon』(荒川弘/小学館)…農業に興味はなかったが、農業機械等に興味がわくようになった」
・「『宇宙兄弟』(小山宙哉/講談社)…エンジニアになるということを確信させてもらったから」
・「『動物のお医者さん』(佐々木倫子/白泉社)…動物が好きなので生物方面に行こうと思った」
・「『ドラえもん』(藤子・F・不二雄/小学館)…人型ロボットや秘密道具のようなものを見て、将来はこのようなものを作りたいと思い、その実現のために必要な技術を割り出し、行きたい職業を決定した」
・「『もやしもん』(石川雅之/講談社)…自分と同じ農学部という舞台で、さらに微生物に携わっているという点が共通しているため、微生物に対する興味関心が以前よりさらに増して、自分の知らなかった職業のおもしろさを教えてくれたから」
■小説
・「『クライマーズ・ハイ』(横山秀夫/文藝春秋)…マスコミの職場の忠実に描かれていて関心を持つことができた」
・「『こころ』(夏目漱石)…この本の中で登場人物のKが『精神的向上心のないものはただの馬鹿だ』と言った。これを受けて自分も精神的向上心を常に持っていたいと思い、そのような考えに共感されるまたはそのような考えが評価されるところに就職したいと思う」
・「『沈黙の春』(レイチェル・カーソン/新潮社)…食や生活の安全に関わる仕事がしたいと思えた」
・「『数学ガール』(結城浩/ソフトバンククリエイティブ)…作者のことをいろいろ調べアルゴリズムとかに興味をもった」
■作りたくなった映画
・「『トランスフォーマー』…この映画は車が多く登場したので、私は工業の強い企業に入って日本が誇れる車を開発、もしくはそれに関係した仕事に従事したいと思いました」
・「『スターウォーズシリーズ』…宇宙船やライトセイバーなど、自分で映画の中に出てくるようなものを作りたいと思い、高専に入学し、ものづくりについて深く学びました。現在の就職活動でも、ものづくりを通して社会に貢献できる仕事を中心に企業を見ています」
・「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』…生ゴミを燃料として使ってるのをみて、エネルギー関連に興味を持った」
■考え方などに影響を受けた映画
・「『スティーブ・ジョブズ』…大企業を支えている人間は小さいところから大きな努力に、よって生まれたところに影響しました。諦めない心と好奇心と執着によって生まれた大企業だと思います。自分もこのように夢を実現できるように努力をしていきたいと思っています」
・「『黒部の太陽』…高度経済成長期のインフラ確保に努めた先人たちの努力・意思に感服し、インフラ業界を志望するきっかけとなった」
・「『ソーシャルネットワーク』…ハーバード大学の学生がfacebookを設立するエピソードで、同じ学生と言う立場でもこなしている事が同じ学生とは思えないほど、専門性が高いと思った。そのことから、自分の専門性を学ぶ意識に影響を受けた」
・「『プラダを着た悪魔』…仕事の大変さ、憧れだけでは成就しないこと、自分から変わらなければ何も変わらないこと、を学んだ。自分を飾らないことが大事だというメッセージが込められていたと感じ、自分もありのままで生きようと思った」
・「『風立ちぬ』…航空関係イコールパイロットとしか目を向けていなかったけど|映画をみて、いろいろな仕事があると実感した」
・「『風立ちぬ』…技術者のかっこよさ、誇り」
■就職活動の参考になった
・「『ミス・パイロット』(TBS系列)…就職活動をしている学生の頃から描かれていて、選考会などの様子が鮮明でした。パイロットなど、すごく難しい世界で、限られた人だけや、固定概念を持ってしまいがちですが、就職活動は1度きりであり、チャレンジできる場なんだと感じました」
・「『就職活動の神様』(ユーキャン)…就活についての考え方や意気込み、スケジュールなどを改めて見直す機会が持てました」
・「『就職四季報』(東洋経済)…企業研究の際、安定性などの情報を得るのに役立った」
・「『宇宙兄弟』(小山宙哉/講談社)…実際に採用の選考が進む過程を見ることで、その立場を自分に置き換えながら考えることができる」
・「『アイカツ!』…アイカツ! に出てくるキャラクターのアイドルに対する考え方と自分の就活に対する考え方がよく似てるから」
■その他
・「『涼宮ハルヒの憂鬱』…この作品に出会い、虜になったことが、アニメ文化に深く触れるきっかけになりました。そして、世にもっとアニメ文化を広められるような職に就きたいと思うようになりました」
・「『エースコンバットシリーズ』(バンダイナムコゲームス)…戦闘機から飛行機に興味を持ち、航空宇宙業界を目指すようになった」
・「『プロジェクトX ~挑戦者たち~』(NHK)…技術系の職業に就きたいと考えるようになった」
・「『いつやるか? 今でしょ!』(林修/宝島社)…自分の考えの中に新たに、『慢心をしない』がプラスされました。必ず世の中の負け組と呼ばれる人には共通点があるという説論ででたのが慢心でした。これを読んだ時すぐに具体的な例が頭をよぎったので事の重要性を理解できました。なので、自分も就活の成功や物事に取り組むに当たってまず慢心せず常に向上心を持とうと思うようになりました」
■総評
文系男子にも影響を与えていたドラマ『半沢直樹』は、理系男子にも影響大だった。金融と言えば文系のイメージがあるかもしれないが、理系のトップクラスを求めている企業も多いため注目を受けたのは良かったのではないだろうか。
また、理系男子で特徴的だったのが「●●の研究に興味を持った」という視点。たとえば『ドラえもん』によって秘密道具をつくってみたいと理系を志したり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でエネルギーに興味を持ったりと、目のつけどころがひと味違うようだ。『風立ちぬ』『動物のお医者さん』『ER 緊急救命室』など、理系専門職について書かれた作品も人気を集めた。
就活市場では人気の理系男子、「作ってみたい」が大きな原動力になっている様子がよくわかる。就職してからもその気持ちを忘れずにいれば、どんどん魅力的なものを世の中に生み出してくれることだろう。
調査時期: 2013年12月13日~2014年1月13日
調査対象: マイナビ会員
調査数: 理系男子245名
調査方法: インターネットログイン式アンケート