XYZプリンティングジャパンは29日、家庭向け3Dプリンタとして初めてスキャナ機能を搭載した「ダヴィンチ 1.0 AiO」を発表した。同社は同日発表会を開催し、XYZprinting会長兼XYZプリンティングジャパン代表取締役の沈軾栄氏、XYZプリンティングジャパンゼネラルマネージャーの吉井宏之氏が、製品の概要や特徴を紹介した。
「ダヴィンチ 1.0 AiO」は、家庭向け初の3Dスキャナ搭載「オールインワン3Dプリンタ」。本体内部に2基のスキャンユニットを備え、直径15cm、高さ15cm以内の対象物をスキャンできる。データはPCに出力され、専用のドライバソフトウェア「XYZscan」で調整後、印刷ボタンをクリックすると、3Dプリントが行われる仕組み。
XYZscanでは読み込めなかった影の部分などを補正する自動補修機能、サイズや表面の滑らかさを調節できるパラメータ機能などを備える。本体サイズはW468×D558×H510cm、重量は23kg。
発売時期は11月中旬。価格は税込119,800円。家電量販店やオンライン販売サイトなどで発売予定。2014年9月にドイツ・ベルリンで開催された国際家電製品展「IFA 2014」で展示されたモデルとなる。製品詳細はニュース記事に詳しい。
■ニュース記事
XYZプリンティング、スキャナ内蔵の3Dプリンタ複合機「ダヴィンチ 1.0 AiO」
XYZprinting会長兼XYZプリンティングジャパン代表取締役の沈軾栄氏。自身を「ダヴィンチシリーズのお父さん」と紹介し、製品お披露目時に「息子の写真をいっぱい撮って頂き有難うございます」とコメントし笑いを誘った |
3Dプリンタで「5つのチャレンジ」を
XYZprinting会長兼XYZプリンティングジャパン代表取締役の沈軾栄氏は、「今回紹介する製品はオールインワンの3Dプリンタだが、5年後、10年後を踏まえると世界初の3Dプリンタとなる」とコメント。
沈軾栄氏は、今後3Dプリンタが発展するにともない、「5つのチャレンジ」があるという。1つ目は3Dモデリングデータの普及。現状、ほとんどのユーザーが自分で3Dモデリングができない中、方法としてはネット上からデータをダウンロードする方法と、今回発表されたように、自分でスキャンする方法があるとする。
その中で「ダヴィンチ 1.0 AiO」で対象物をスキャンするには「物を中に入れてスキャンするだけ。非常に簡単。82歳の母に使い方を教えたい」と、モデリングの手軽さを強調した。
2つ目は材料。今後は金属材料のほか、柔らかいもの、固いものを融合したような素材も出てくると話し、2015年1月に開催予定のCESにおける新素材の発表も示唆した。今回の「ダヴィンチ 1.0 AiO」では、シリーズ初となるPLA素材に対応し、ABS樹脂とPLAの2種類の素材が利用できるようになった。
なお、残りの3つは「フルカラー印刷」、「品質」、基板などにプリントできる「電子材料」とのこと。氏は今後の3Dプリンタ市場について「今の時代は家の中でもロボットが出始めている。家庭や事務所に3Dプリンタが置かれる時代がきっとやってくる」と締めくくった。
「3Dモデリングができない人でも手軽に使える」 - 吉井氏
XYZプリンティングジャパンゼネラルマネージャーの吉井宏之氏は、「ダヴィンチ 1.0 AiO」の特徴を紹介。ターゲットは一般家庭だが、今後法人営業にも力を入れるという。目標販売台数は、「ダヴィンチ」シリーズ全体で、今後1年間で数千台。
吉井氏は大きな特徴として、「知識がない人でもスキャン機能により、手軽に3Dプリントできる」ことを挙げ、スキャン内蔵の優位性をアピールした。
「ダヴィンチ 1.0 AiO」は、内部に200万画素カメラ・キャリブレーション用ライト・赤色レーザーダイオードを一体化したユニットを2基備え、ターンテーブルに載せた対象物を回転させてスキャンする。
スキャンにかかる時間は約288秒(約5分)。スキャン精度は0.2mmで、プリンタ機能は従来と同等で、デザインも踏襲するが、側面にはスキャン精度の向上のため、外部光を遮るダークブルーを新たに採用する。
また、PLA素材のシリーズ初対応にも触れ、合わせてABS新色も発売も明かした。ABS新色はゴールド、蛍光マゼンダ。発売日は11月中旬で、価格は3,280円。