説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「ハンドオフ」にWi-Fiは必要ない?』という質問に答えます。

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いいえ、iOS 8の新機能「ハンドオフ」にWi-Fiは必要です。Wi-Fiなしにできる処理もありますが、大半はBluetooth LE(BLE)とWi-Fiの組み合わせにより"作業の引き継ぎ"を行います。同じApple IDでサインインしておくことはもちろんですが、とWi-Fi両方を有効にした状態で利用しましょう。

ハンドオフでは、BLEを利用して近くのiOSデバイス/Macを探します。たとえば、ハンドオフがサポートされたiPhoneとiPad Wi-Fiモデルがあるとき、両方のWi-Fiをオフ/BLEはオンにしておくと、iPhoneで「Safari」を起動すると、その情報はiPadに伝わりAppスイッチャーとロック画面にそのアイコンが現れます。反対にiPadで「カレンダー」を起動しても、iPhoneにその状態が伝わりAppスイッチャーなどにカレンダーのアイコンが現れます。

しかし、ハンドオフを引き継ぐ側のデバイスでアイコンをタップしても、肝心のアプリのデータは表示されません。前述の例でいえば、iPadでSafariのアイコンをタップしても、iPhoneで表示したWEBサイトは表示されません(正確にいうとWEBサイトのURLは転送されますが、Wi-Fiモデルだからインターネットに接続できないのです)。iPhoneでカレンダーのアイコンをタップしても、iPadで表示していたイベントは表示されません。

つまり、BLEではハンドオフする双方のデバイスを検出することと、どのアプリが対象かを見出すことはできますが、基本的にアプリのデータは転送されません。「メール」や「メッセージ」など、ハンドオフをサポートする他のアプリも事情は同じです。

ただし、「連絡先」は例外です。Wi-Fiをオフにしているときでも、どの人物のページを開いているかがBLE経由で相手の端末に伝えられるため、(Wi-Fiがオフの)iPadで電話したい相手のページを開いておき、iPhoneにハンドオフすると、その人物のページが開いた状態で「電話」が起動されます。

BLE単独でもハンドオフ対象のアプリは検出されますが、基本的にアプリのデータは転送されないため、期待した作業を行うことはできません