第27回東京国際映画祭で新設された"SAMURAI(サムライ)賞"の第1回受賞者となった北野武監督が25日、東京・六本木ヒルズで行われた受賞記念スペシャルトークイベントで、若手映画監督たちと"日本映画の今と未来"をテーマに語り合い、商売の観点から見た映画について意見を述べた。
北野監督は、漫画原作の実写映画が最近多い理由について、「客が入るから」とコメント。「よくわからない台本にお金を払う勇気のある映画会社、配給会社がない。ヒットした漫画や売れた小説とか、当たっているものを映画化した方が客は入るだろうと」と説明し、「原作者不足というか、脚本家のいいのもいなくなっている」と問題を提起した。
そして、「エンターテインメントの商売として考えればしょうがない」との考えを示した上で、「そのうち、そういうものにダメだなと思うような、いい映画が出てほしい」と期待した。自身の監督作品についても、「最近、わけわかんない暴力映画ばっか撮っているのは、客が入るからだけ」と暴露。「そういう社会との妥協も必要」と語った。
また、「映画に規定はない。自分が描きたいものを自分なりに描けばいい。でも、他人は違うよと言ってはいけない」と若手監督にアドバイス。「俺はアニメなんか大嫌いだけど、宮崎駿なんか本当嫌いだけど、認めています。あれだけのお金を稼ぐすごいアニメだなと思います」と毒舌トークを繰り広げ、「嫌だと思っているものも認めなきゃいけないという、余裕のある頭は必要」と伝えた。