11月7日にイヤホン製品の第1弾を発売する米Aurisonics(オーリソニックス)。そのブランドと製品に関する説明会が10月24日、国内代理店を務める完実電気の本社で開催された。音楽どころテネシー州ナッシュビルから来たブランドだけあって、熱いこだわりがビンビンと伝わってきた。

Aurisonicsの社長兼CEO Dale Lott氏

写真は3年前の社屋。ガレージからスタートし、成長を続けてきた

一人でガレージから始めたマニファクチュアメーカー

Aurisonicsは2011年設立のインイヤーヘッドホンメーカー。社長兼CEOのDale Lott氏がたった一人でガレージからスタートした同社は現在、25人の従業員を抱え、日本に上陸するまで成長した。

Lott氏はマスタリングエンジニアとして豊富な経験を持つプロ中のプロ。90年代にリリースされたREOスピードワゴンのリマスターアルバムのほとんどは、同氏が手がけたもので、その経験が現在のものづくりに役立っているという。

The IsaacsやNight RangerのBrad Gillsなどのミュージシャンが愛用

実はLott氏、80年代にはバンドでボーカルを務めていた(写真左端)

Aurisonicsの哲学のひとつ、「Building it ourselves」は自分たちで生産することへのこだわりを言葉にしたものだ。現在はオーディオ業界にかぎらず、アウトソーシングを駆使してコストダウンを図ることが当たり前の時代だが、それにあえて逆行し、自分たちの技術を武器に高音質・高品質を追求している。

もう一つ、筆者の印象に残った哲学が「Breathing life into our products」。Aurisonicsはクラフトマンシップや情熱をこめて製品を送り出すことを大切にしている。3Dプリンタを駆使して製品を作っているが、塗装や組み立ては手作業で行っているという。

Aurisonicsでは購入者のことをCustomerではなくFamilyと呼ぶ。職人気質で「Made in U.S.A.」にこだわっている。あたたかでアナログで人間くさいところが、不思議と今、かえって新鮮に感じられる。

Aurisonicsのデザイン哲学

設計だけでなく、生産もナッシュビルでマニファクチュア

マスタリングエンジニアリングとして活躍した後、Lott氏はNASAや米軍のコミュニケーションシステムの開発に携わった。Lott氏自身も海兵隊での従軍経験があるという。この仕事を通じて、Lott氏は3,000人近くの耳型のスキャンデータを持つことになる。これが、フィット感を重視したAurisonicsのイヤホン開発につながっていく。

NASAや米軍、レーシングカーのコミュニケーションシステム開発に関わった。NFLのチームでも使われている

11月7日に3製品を国内発売

11月7日に国内で発売するのは3製品。ダイナミックドライバーとBAドライバーを組み合わせた「ASG2.5-RED」と「ASG1PLUS-BLACK」、個性的なデザインの「ROCKETS」だ。

「ASG2.5-RED」はBAドライバー2基と14.2mm口径のダイナミックドライバーを搭載したモデル。パンチ力のある低音再生を得意としている。付属のマイナスドライバーでハウジングのネジを回すと、低音を伝えるダクトが開閉して、低音の強さを調整できる。推定市場価格は74,000円前後(以下、すべて税別)。

ASG2.5-RED

ネジをまわして、低音を好みの強さに調整可能

「ASG1PLUS-BLACK」はBAドライバー1基、14.2mm口径のダイナミックドライバーを搭載。ナチュラルなサウンドが持ち味だ。推定市場価格は49,800円前後。

ASG1PLUS-BLACK

「ROCKETS」は5.1mm口径のダイナミックドライバーを搭載したモデル。シェルには高速なレスポンスを特徴とするチタン素材を、イヤーチップには体温によって自然にフィットするシリコン素材を採用している。ミリタリースペックばりの耐久性も併せ持つ。推定市場価格は27,500円前後。

ROCKETS

丈夫で絡みにくいケブラー素材のケーブルを全力で引っ張るなど、ROCKETSの耐久性を猛アピールするLott氏。IP65の防水性能により、コップの水にハウジングを沈めても問題なし

説明会の最後に、開発中のBluetoothイヤホン「Auris」をサプライズ披露。2015年リリース予定