NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの主要3キャリアは、通話定額プランを盛り込んだスマートフォン向け新料金プランをそれぞれ導入しているが、通話定額プランがすべてのユーザーにとってメリットがあるわけではない。通話定額プランの基本料金は月額2,700円(税抜)と高く、あまり通話を利用しない場合は従来よりも割高になる可能性があるため、従来の料金プランを使い続けているユーザーも多いのではないだろうか。

また最近では、データ通信料金を含めて高止まりするキャリアのスマートフォン料金をきらって、"格安SIM"と呼ばれるMVNOサービスへユーザーが移行する動きも出始めている。とはいえ、キャリアの従来プランやMVNOサービスでは、通話料は20円/30秒(税抜)という割高な設定であり、とくに通話を頻繁に利用した月などには、通話料が高額になってしまうことも考えられる。

そこで活用したいのが、キャリアの通話定額プランを利用せずに、お得な料金で通話ができる格安通話サービスだ。本稿では、おもな格安通話サービスとして、「楽天でんわ」「050 plus」「LINE電話」「G-Call」を比較し、どのサービスが最もお得で、実用性があるかを考えてみたい。

3分0円プランが登場した「楽天でんわ」

「楽天でんわ」のAndroidアプリ。ダイヤルパッドのほか、連絡先や発着信履歴から通話発信できる

まず取り上げたいのは、楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが提供する「楽天でんわ」だ。同サービスは、専用アプリから通話発信することで利用できるスマートフォン向け格安通話サービス。月額基本料は無料で、通常の「30秒10円プラン」では、10円/30秒(税抜)の通話料で電話をかけることができる。

同サービスでは、10月7日より「3分0円プラン」の提供を開始した。同プランは、3分以内の国内通話であれば、何度かけても通話料0円で利用できるという期間限定の特別プラン。なお、通話時間が3分を超えた場合は超過した部分に対し、20円/30秒(税抜)の通話料がかかる。また、国際電話については通常プランと同様となり、通話料は10円/30秒(非課税)となる。

3分0円プランは新規申し込みユーザーのみを対象にし、先着5万名限定で提供される。提供期間は2015年1月10日までの期間限定となり、その後、同プランを継続するか終了するかは今後検討される。また、既存ユーザーが同プランに申し込むことはできないが、2015年1月以降に同プランが継続されることとなれば、プラン変更が可能になる予定。

楽天でんわは、後述するようなパケット通信を利用するIP電話サービスとは異なり、電話回線を利用した通話サービスとなる。そのため、通話品質はスマートフォンの通常発信と同様に良好で、音声の遅延も少ないのが特長だ。

特別プランの「3分0円プラン」が10月7日より提供開始された

また、電話をかけた相手には、自身のスマートフォンの電話番号がそのまま通知される。"050"番号などをあらかじめ相手に教えておく必要もなく、相手からの折り返しの電話には、標準の電話アプリで応答することが可能だ。

IP電話サービスの「050 plus」と「LINE電話」

続いて、インターネット経由で通話を利用できるIP電話サービスのアプリを見ていこう。スマートフォン向けIP電話サービスとしてよく知られているのが、NTTコミュニケーションズが提供する「050 plus」だ。同サービスでは、"050"から始まる電話番号を取得し、その電話番号で通話の受発信が可能。

IP電話アプリの「050 plus」。固定宛8円/3分、携帯宛16円/1分で通話が可能

通話料は、固定電話宛が8円/3分、携帯電話宛が16円/1分(いずれも税抜)と、楽天でんわの通常プランの10円/30秒(税抜)などと比べても安いが、月額基本料が300円かかる。そのため、ほとんど通話を利用しなかった月などの場合、"元を取れない"といった状況が起こることも考えられる。

また、IP電話サービスではパケット通信を利用して通話するため、通信環境によっては通話品質が劣化したり、遅延が発生する場合があるなど、スマートフォンの通常発信と比べると比較的不安定と言えるだろう。電話番号の通知については、前述の通り、050番号で通話発信するため、相手には050番号が通知される。そのため、あらかじめ電話番号を教えることなく電話をかけた場合、相手を戸惑わせてしまったり、電話に出てもらえないことも懸念される。

050 plusのアプリ同士では、通話料が無料になるといった便利な側面もあるが、利用できる範囲はごく一部に限られると言えるだろう。

一方、LINEが提供する「LINE電話」は、無料通話アプリの「LINE」で利用できる格安通話サービス。同サービスは、パケット通信を利用するため、IP電話サービスのひとつと言えるが、050番号を使用しない点が050 plusなどと異なっている。

LINEアプリで利用できる通話サービス「LINE電話」

LINE電話では、App StoreやGoogle Playなどであらかじめ「コールクレジット」または「30日プラン」を購入し、通話料に充てる仕組みで、コールクレジットの場合、通話料は固定電話宛が3円/1分、携帯電話宛が14円/1分(非課税)。携帯電話宛の通話料については、050 plusよりも安いのが特長だ。

ただし、前述の通り、パケット通信を利用するため、通話品質は比較的不安定となる。また、番号通知については、LINEに登録しているスマートフォンの電話番号を相手に通知することが可能だが、電話をかけた先のキャリアによって対応が分かれ、NTTドコモのスマートフォンや携帯電話に電話をかけた場合には非通知もしくは通知不可となる。

相手がどのキャリアを利用しているかは、ごく親しい間柄でない限り知らないと思われ、LINE電話を利用する場合には、予期せず非通知になる懸念がつきまとう。また、親しい間柄であれば、LINEの無料通話を利用すればよいといった矛盾もあるため、ドコモ宛が非通知になるのは、LINE電話の最大のデメリットと言えるだろう。

電話回線を使った通話サービス「G-Call」

電話回線を利用した通話サービス「G-Call」。通話料は10円/30秒

楽天でんわと同様に、電話回線を利用した通話サービスがジーエーピーの提供する「G-Call」だ。同サービスでは、専用アプリから通話発信することで、10円/30秒(非課税)の通話料で電話をかけることが可能。月額基本料は無料となっている。キャリアの従来プランの通話料20円/30秒(税抜)の半額で通話でき、楽天でんわの通常プランとほぼ同様だが、通話料が非課税であることが特長となる。

電話回線を利用するため、楽天でんわと同様に、通話品質は安定している。また、自身のスマートフォンの電話番号を相手のキャリアに関係なく通知することが可能だ。ただし、固定電話にかけるときには注意が必要で、NTTの一般加入電話宛の通話は通知不可能となる。

G-Callには、通話品質が安定していることなどのメリットはあるが、通話料については、楽天でんわの3分0円プランや050 plus、LINE電話と比べると見劣りがし、全体的には、ややパンチ力に欠ける印象だ。

今回、紹介したスマートフォン向け格安通話サービスをまとめると、通話品質や番号通知については、楽天でんわが最も優位と言え、通話料についても3分以内であれば0円で最安になる。なお、実際に3分0円という通話料が実用的なのかについては、マイナビニュースの別稿で検証しているので、こちらもご参照いただきたい。

スマートフォン向け格安通話サービスの比較表(金額は税抜)

4つの格安通話サービスの通話料の推移。3分以内であれば、楽天でんわが0円で最安だ