米Appleの新型スマートフォン「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」が9月19日に発売開始されてから、ちょうど1カ月が過ぎた。今なおNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社間では激しい販売競争が繰り広げられている模様だ。最新の売れ行きランキングはどうなっているだろうか。
家電量販店における実売データを集計した「BCNランキング」が公表した10月13日~19日の売れ筋ランキングによると、ソフトバンク版のiPhone 6/6 Plusがトップとなっている。本稿で詳しく紹介していこう。
ソフトバンク版のiPhone 6/6 Plusが優勢
BCNランキングによれば、最新の売れ筋ランキングは以下のようになっている(10月13日~19日の集計結果)。10位以内のうち9機種はiPhoneという結果で、発売から1カ月が経った現在でもiPhoneの売れ行きが衰えていないことがよく分かる。
同じくBCNランキングによると、iPhone 6/6 Plusの発売から30日後における累計販売台数は過去最大を記録。昨年の「iPhone 5s/5c」や、一昨年の「iPhone 5」の同期間の累計販売台数を上回っているとのこと。キャリア別販売台数のシェア(累計キャリア別シェア)は、ソフトバンク版が45.6%、au版が32.9%、ドコモ版が21.5%となっており、ソフトバンク版のiPhoneが牽引役となっている(10月18日までの累計による)。
ソフトバンクが好調の理由は?
この1カ月間、マイナビニュースにおいてもiPhoneをめぐる3社間のシェア争いの様子を紹介してきた。過去の記事でもお伝えした通り、iPhone 6/6 Plusの販売競争はソフトバンクが優勢に進めているようだ。(参考記事 その1、その2)
iPhoneの購入キャリアとして、ソフトバンクが選ばれている理由はどこにあるのだろうか。ソフトバンクはiPhoneの取り扱い年数が最も長く、市場にはソフトバンク版iPhoneを愛用しているユーザーも多い。こうした背景もあるだろう。それに加え同社では今回、最大3万2,400円を割り引く「タダで機種変更キャンペーン」を実施している。これはiPhone 5s/ 5c/ 5/ 4s/ 4などの利用者を対象にしたもので、過去最大の値引きとなる。ケースによっては機種代金を実質0円で機種変更できる場合もある。さらにMNP向けにも「のりかえ下取りプログラム」を実施、最大54,000円の値引きを行うなど複数の効果的なキャンペーンを打っている。これらの施策が今回の結果の要因のひとつと考えられる。
加えて、ソフトバンクのネットワーク環境への取り組みにも注目したい。iPhone 6/6 Plusでは、新たにTD-LTE方式のネットワークが利用できるようになった。ソフトバンクは、TD-LTE完全のAXGP方式でsoftbank4Gを他社に先駆け展開しており、対応エリアはKDDI(au)が展開するWiMAX2+より広いとしている。このTD-LTEと従来からiPhone向けに提供するFDD-LTEに対応することで、2.1GHz、1.7GHz、900MHz、2.5GHz周波数帯を利用した、112.5Mbpsと110Mbpsの2つの安定したネットワーク環境を実現している。
このほか、旧料金プランでiPhone 6/6 Plusを契約できるという点もソフトバンク版のメリットになっている。音声通話を頻繁に利用しないユーザーにとっては、新料金プランは割高になってしまう可能性がある。ドコモ版では機種変更の際に新料金プランへ強制的に移行しなければならず、これがドコモ版の売り上げに悪影響を及ぼした可能性は否定できない。
今後、iPhone 6/6 Plusの販売を促進するために各社から新たなキャンペーンが実施される可能性もある。それにより人気の端末が購入しやすくなるのであれば、利用者としては大歓迎だ。3社のシェア争いは、これからどのように変化していくだろうか。引き続き注目していきたい。
(執筆:大石はるか)