スウェーデンのボルボ・カー・グループはこのほど、複数のセンサー情報を統合して利用する次世代のセンサー・フュージョン技術により、車の周囲360度をシームレスに俯瞰できるシステムを開発したと発表した。「ノンヒット・カー・アンド・トラック」プロジェクトの成果によるものだという。
ボルボは2020年までに新しいボルボ車が関わる死亡者や重傷者をゼロにするという目標「VISION 2020」を掲げており、その実現のためにさまざまな取組みを続けている。そのひとつが2010年からスタートした「ノンヒット・カー・アンド・トラック」プロジェクト。ボルボを含む複数の企業や機関が参画し、8,000万スウェーデンクローネ(約12億円)規模で活動。今年10月に終了予定となっている。
同プロジェクトは「VISION 2020」の実現に沿うもので、乗用車および商用車の事故発生リスクを軽減するための技術開発を行ってきた。その成果が、複数のセンサー情報を統合し利用する次世代のセンサー・フュージョン技術。これは、車のさまざまな場所に取り付けられたデジタルカメラ、ミリ波レーダー、赤外線レーザー、GPSなどのセンサーの情報を集約・統合し利用する、過去に例のないシステムだ。
センサー・フュージョン技術により、画期的な360度の完全な視界が確保され、通常ではドライバーから死角となる、事故の発生につながる危険の発見が可能となる。このテクノロジーは既存の自動車用センサーを活用するため、近い将来の実用化が可能だという。