ダイキン工業は9日、ルームエアコン「うるさら7 Rシリーズ」2015年度モデルを発表した。同日、東京都内のショールーム「フーハ東京」にて発表会を開催。発表会では、新製品の特徴や開発背景、用いられている技術について紹介した。
エアコンは1人1台の時代に
まずはじめに、ダイキン工業 空調営業本部 事業戦略室 住宅用事業担当課長の谷内邦治氏が登壇し、製品の開発背景や特徴を説明した。谷内氏によれば、1世帯あたりのルームエアコン保有台数は年々ゆるやかに増加しており、2013年には2.76台となっている。「1家に1台」から「1人に1台」と市場が変化していることがうかがえる、と谷内氏は述べた。また、日本の夏における平均気温はこの20年で約1度上昇。冷房を使用するシーズンも長期化してきている。
エアコンが今や生活必需品となっている一方で、「エアコンが苦手」だとするユーザーが半数以上の54.9%いることがダイキン工業の調査で明らかになった。また、寒くなったり暑くなったりの繰り返しでちょうどよい温度にならない、と不満を持っている人が多い結果も出ているという。
そこで「うるさら7 Rシリーズ」の2015年度モデルでは、冷房の基本に立ち返って快適さを追求。設定温度到達後も温度・湿度を快適に保つ「プレミアム冷房」、外気温45度での冷房運転に対応した「高外気タフネス冷房」、睡眠中の快適さを向上させる「おやすみ運転」を新たに搭載した。11月発売ではあるものの、主に冷房運転を強化し、次の夏を見すえたモデルとなっている。
"快適"を実現する技術
続いて、同社 空調生産本部 小型RA商品グループリーダー 主任技師 小泉淳氏が登壇して、技術面の説明を行った。まずは「プレミアム冷房」について。「プレミアム冷房」は、独自の新技術「デシクル制御」と「PIT制御」を採用している。
デシクル制御の"デシクル"とは、「desiccate(乾燥させる)」と「cool(冷やす)」を組み合わせた造語だ。従来モデルで長時間冷房運転していると、熱交換器と室温の温度差が小さくなるため、除湿がしにくくなる。しかし、2015年度モデルでは熱交換器の一部を冷やすことで、従来モデルの約5倍の除湿量を実現した。PIT制御の"PIT"とは、Pure Inverter Technologyの略。冷媒の温度をコントロールする圧縮機を安定して運転できるようにし、室温の変動を抑制する技術だ。
夏場では40度を超える高温環境下に室外機が設置されていることが多い、という調査結果を受けて「高外気タフネス冷房」が搭載された。高効率の冷媒「HFC32(R32)」に加えて、室外機の電気部品を見直すことで、外気温が45度でも冷房運転が可能になっている。また、新しくなった「おやすみ運転」は、エアコンの運転音や気流を睡眠に最適な設定にする。使用状況にもよるが、運転音は20~25dB(置き時計の秒針の音は20dB程度とされる)の間と、優れた静音性を実現した。